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2025年08月01日

戦後80年…「核攻撃とは何か」を忘れかけている今、次の世代にどう伝え残すか。

戦後80年―。終戦時に20代以上だった明治、大正生まれの割合は、総人口の0.3%を割り込んだ。

「記憶や過去を、若い世代にとって意味あるものにしていくかを真剣に考えるべき」というのは、1954年に長崎市で生まれ、5歳の時に父親の仕事の関係でイギリスに移住、2017年にノーベル文学賞を受賞した作家カズオ・イシグロさん。原爆投下間もない長崎を舞台にした長編小説「遠い山なみの光」が映画化され、5月のカンヌ映画祭のインタビューで語った「戦争の記憶が今の時代に持つ意味」(NHK NEWS WEB)が印象的である。

小説は、長崎とイギリスが舞台。長崎で原爆を体験し、戦後イギリスに渡った主人公の女性が、長崎で過ごした日々の記憶をたどり、苦悩の中から希望を見いだしていく。

物語の土台は、イシグロさんが長きにわたり母親から聞かされた長崎での原爆体験の記憶だという。「執筆当時(45年前)は、被曝の描写に少し触るだけで読者には十分伝わったのが、今の若い世代にとっては『核』が何を引き起こすか明確に描く必要がある。なぜなら冷戦後、社会全体が『核攻撃とは何か』を徐々に忘れかけているから」と話す。

イシグロさんの作品に通底するテーマは『記憶と忘却』。「戦争を体験した世代が居なくなってしまった時、どうすれば次の世代に関心を持ってもらえるか、記憶の伝え方を再考する必要がある」と語っている。

 

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