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2021年08月12日

「終戦後態度が一変した上官」~本紙読者投稿より

毎年夏になると、終戦の頃の思い出がよみがえる。

当時私は野戦重砲通信隊の初年兵で、
「貴様らは消耗品だ」
と罵られ、人間扱いをされなかった。
声が小さい、動作が鈍いと、事ある毎に古年兵から殴られた。陰湿で、執拗で、空襲以上に恐ろしかった。

だが、終戦を迎え、情勢は一変した。上官の「貴様」呼ばわりや、暴力による私的制裁がぴたりとなくなり、私たちの顔色を伺うような卑屈さが現れだした。

その頃
「召集兵は家に帰し、現役兵は米国で奴隷にされる」
という噂が広まっていた。混乱の最中、人間の素顔というものを目の当たりにした。権力者が権力を失った時の哀れさがあった。

上官は見苦しいほどに狼狽していった。盗んだトラックに軍の食料、物資を積み込んで、一人で「復員」していくしたたかな下士官やエリート将校もいた。
私の同年兵は
「戦争に負けても、上のやつらは損をしない」
と吐き捨てていた。

国家にしても、権威、権力にしても「一皮むけばこんなものか」と、そんな白々とした思いが、今でも鮮烈に残っている。
(静岡県 S・M)

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