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コラム

2022年01月06日

「捕虜兵の川柳」~本紙読者投稿より

昭和20年8月15日、終戦となり、湖南省の第一線、湘桂作戦に参加中であった部隊は前線から撤退、湘陰に集結し、師団に合流した。

9月23日、武装解除を受け、戦わずして虜因の汚名を受け、中国の命令で公路復旧作業に従事することとなった。

12月下旬、湘陰に復帰し、万事不自由な中で、師団合同慰霊祭が行われた。また師団の肝いりで、県人会と称し、部隊ごとに野球、短歌、俳句、都々逸、川柳、演劇、碁、将棋などの娯楽を兼ねた親睦会も行われた。

敗戦後の捕虜であるが故か、臆面もなく骨抜き敗残兵の戯言、泣き言ともいえる荒唐無稽の川柳を作った。憂さ晴らしに、心を慰めていたのだ。
今はただ懐かしく、当時の捕虜川柳を思い出している。そのうちの一部を紹介しよう。

県人会飯の話で終りけり
大豆飯豆にお米がまぶりつき
今日も又箸の要らない朝の粥
有難や初めて知った米と塩
不眠症満腹の夜は良く眠り
一本の煙草に集まる内務班
吸いかけの煙草が廻る囲炉裏端
戦友の寝言で更ける春の宵
草刈や子供に脅され場所変える
投げられた石に返した笑い顔
洗濯や石の飛び来る身の辛さ
敗戦後犬にも避けて通りけり
虱取り上野の猿も顔負けし
日当りや並んで兵の虱取り
虫下し此の頃虫もどっと痩せ
(香川県 K・Y)

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