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コラム

2017年12月06日

「仲の良い家族だから争いは起きないはず」…は危険!「遺言」の必要性を考える。

問い

私の財産を確実に孫に残したいのですが、どうすればよいでしょうか?

答え

答え

「財産を孫に残してやりたい」というあなたの気持ちは、あなたが亡くなった後も確実に実行してもらえるものでなくてはなりません。法律もその気持ちを尊重して、間違いなく実現できる制度を設けています。遺言がそれにあたります。遺言はあなたの死亡後に問題とされますので、多少作成の形式がうるさくなっておりますが、一度説明を受ければ簡単に作ることが出来ます。

 

よく聞くことですが、「財産がないから」とか「財産の内容を知られたくないから」と言って、遺言書の作成をためらう人が多いように思います。あなたが一生かかって蓄財した財産を、人生の最終において、あなたの気持ちに従って処分することは、何とすばらしいことでしょう。孫はかわいいものです。少しでも助けてあげたいと言うこともよくわかります。場合によって使用目的を限定したり、あるいは教育をしっかり受けさせるように、財産を残したいということもあるでしょう。また、お世話になった方へのあなたの気持ちを示すにも遺言は大きな力を貸してくれます。

 

法律に従って子供達で分けてもらえばいいと考えておられる方もいます。そのような場合は、わざわざ遺言書を作成しなくても法律により取得分が定められており、取得割合(相続分)についての争いはありません。しかし、土地はどのように分けるのか、複数の株式があれば、だれがどのように取得するのか、また特定の相続人は生前に特別に財産をもらっていたといった事情があると、やはり相続人間で紛争が発生することが十分予想されます。このような場合に備え、子供の間で遺産の分け方が争いなくスムーズに行くように遺言することも必要ではないでしょうか。

 

遺産分割が争いになると、2年、3年はその争いのために時間がかかるばかりか、中には5年、10年と争いが続いているケースもあります。このような長期間の争いがあるような場合、遺言書が一つあれば解決が早いといったケースもあります。

 

「自分の子供達は争いはしない」と自信を持って話される人がいることもうかがいます。確かにそのようなケースもあろうかとは思います。しかし、それは父(母)を中心とした家族であったものが、両親の他界という事態に至ると、中心となっていた核が失われます。その後は、各子供達がそれぞれ家庭を持った社会を形成することになります。

 

遺産分割という話についても、子供達それぞれの立場からその主張をすることになり、兄弟姉妹だけなら問題にならないようなことも、それぞれに配偶者がいたり、経済状態が色々であったりすると、その人達の意思を優先した解決を尊重することになり、ますます紛糾すると言ったこともうかがえます。

 

遺言は、いろいろな意味で大切であります。相続人がいない場合、遺言がなければ国に帰属することになるし、また遺言によってあなたの意思を死後も実現できること、また不要な紛争を防止することもできます。

 

財産の内容は不明でも遺言は出来ます。財産の内容を知られないで遺言することも出来ます。財産が多いから遺言するとか、財産が少ないから遺言すると言ったことも考える必要はありません。何度も書き換えられるので、安心して遺言の作成について相談してみてはいかがでしょうか。(老友新聞社)

 

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