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2018年04月20日

第25回 「五稜郭」~箱館戦争の舞台となった星形の西洋式土塁

(上空から見た五稜郭 写真提供=函館市教育委員会)

所在地=北海道函館市
種類=平城
別名=柳野城、箱館御役所、亀田御役所土塁

 

五稜郭は、戦国時代の大名が領内に築く城ではなく、箱館奉行所の防備を固めるため江戸幕府が安政4年(1857年)に築造を始め、元治元年(1864年)に完成した星形の西洋式の土塁です。
五稜郭というのは通称で、亀田御役所土塁、箱館御役所というのが正式な名称です。

ペリー艦隊が浦賀沖に現れた翌年、日米和親条約が結ばれると函館と下田が開港となって、函館奉行所が外国との窓口になり、「さあ、大変!外国人がやって来る」ということで、函館山の麓から土塁で囲んだ防衛対策を強化した丘陵地の安全な場所に移転しました。
この土塁が亀田御役所土塁、つまり五稜郭です。

五稜郭が星形をしているのは、当時最新式の西洋式城郭という欧風の築城様式だったからです。
五角形の頂点の部分に陵堡というスペースを作って石垣で囲み、その上に水堀を巡らせ、さらに外側を土塁で囲んでいます。これが五稜郭と呼ばれる理由です。
外国との戦いに備えて造られたのにもかかわらず、皮肉にも内戦の舞台となってしまい、旧幕府軍脱走軍と新政府軍との間で明治元年(1868年)から翌年にかけて行われた「箱館戦争」の激戦地として歴史に名を刻んでいます。

五稜郭には「はね出しの石垣」という遺構があります。石垣の最上段をひさしのようにせり出させ敵がよじ登れないような造りになっています。この造りは現在五稜郭と熊本県の人吉城でしか見られません。

4面「気ままに城巡り25」30年1月号写真2
五稜郭ではまずタワーで最上階まで登り、くっきりと見える星形を楽しんでいただきたいです。桜の頃は函館の名所にもなっているだけあって本当に見事です。正面になる星形の凹みの部分に堡塁があり、「馬出」と同じ敵の攻撃を防ぐ役目をしています。そんな箇所を探すのも見どころの一つです。

タワー内では函館の歴史が丁寧に展示、解説されていて、当時の緊張感がダイレクトに伝わってきます。今年は明治維新150年という記念の年です。いつもとは違った視点で歴史に触れる旅が出来ると思います。(老友新聞社)

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