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玉木正之のスポーツ博覧会

玉木正之のスポーツ博覧会

2022年06月13日

スポーツと暴力と民主主義の関係を御存知ですか?

またしても学校の運動部(サッカー部)で、指導者による暴力事件が発覚した。今回は監督がテレビや記者会見で虚偽発言を繰り返したり、過去の暴力を隠蔽したりするなど相当に悪質で、監督は辞表が受理され、コーチには解任処分が下った。が、それで一件落着ではないはずだ。

間違った行為をした人物には、罰を科すだけでなく更生させる必要があるはずだ。

今シーズンのメジャーリーグのテレビ中継で、日本人選手をやゆする英語の発音を口にした解説者は、即座に馘首(かくしゅ)されたうえ、差別的な考えを改める矯正所で研修を受ける義務を課せられたという。

そこまでやらなければ学校スポーツの暴力は根絶できないはずだ。更生プログラムでは、暴力はいけないと教えるだけでなく、スポーツという文化(カルチャー)が生まれた歴史を教える必要がる。スポーツとは民主主義社会から生まれ、民主主義社会でしか生まれない文化なのだ。

民主主義とは暴力(戦争)を用いず、選挙や話し合い(議会)で権力者(指導者)を決めることだ。そのような暴力が否定され、無意味になる社会になると、殴り合いや取っ組み合い、戦争や戦利品の奪い合いは、ボクシングやレスリング(柔道)、射撃やフェンシング(剣道)、フットボール(ボールの争奪戦)などのゲーム(スポーツ)に生まれ変わる。つまりスポーツとは暴力を全否定した民主主義から生まれ、そのような社会からしか生まれ得ない文化なのだ。

従ってスポーツに暴力を持ちこむ人物は、スポーツにふさわしくない存在として、排除される必要があるのだ。

日本のスポーツ界から暴力的指導が消えないのは、まさか、スポーツと民主主義=非暴力社会の関係を知らないからではないでしょうね?

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玉木 正之
  • スポーツライター 音楽評論家 小説家

新聞や雑誌で執筆・評論活動を展開するほか、TV・ラジオ番組に多数出演。主著に『スポーツ解体新書』『不思議の国の野球』『オペラ道場入門』他多数。

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