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医療と健康

2025年04月14日

左手にしびれ症状。脳は異常なし。原因は?

左手に痺れがあり、脳のMRI検査をしたところ「異常なし」でした

いつの頃からか、左手にしびれを感じるようになり、指先までビリビリ、ジュワーっという感覚があります。

先日、脳のレントゲンを撮ってみました。大きな音がする装置で怖かったのですが、その結果、脳はとてもきれいな状態でした。

ボールを握る運動や、しびれる手をさすったりしておりますが、良くなりませんので心配です。
ワーファリンや不整脈、コレステロールの薬を飲んでいますが、血液の病気の影響でしょうか。それとも薬の副作用もあるのでしょうか。

答え

神経の圧迫か。他の部位の検査も。

今回は手の痺れがある方からのご相談です。すでに病院を受診して、脳の検査もされたそうですが、大きな音がする装置とのことですので、レントゲン検査ではなくMRI検査かと思います。CTの検査ではX線(レントゲン)を用いますが、MRI検査では磁場の力を用います。脳神経系の異常を見つけるのにとても有効な検査ですので、その結果、脳の状態がとてもきれいだということで、まずは一安心かと思います。

ワーファリンをお飲みになられているとは、心房細動の治療をされているかと思います。その場合、やはり心原性脳梗塞のリスクが非常に高いので、脳の状態の確認は常に必要になるのです。

さて、左手に痺れがあり、薬の副作用や血液の病気を気にされておりますが、そのよう場合、一般的には全身的な症状になることが多いです。手の痺れでも、片手ではなく両手であることが多く、今回の痺れについては別の原因を調べる必要がありそうです。

局所的に痺れが起きる場合には、その領域の神経が何らかの形で傷んでいることが考えられます。神経は脳から脊髄を通って走り、そこから末梢神経へと繋がっていますが、そのうちのどこかで圧迫や障害が加わっている可能性があります。

上肢の痺れの原因に多いのが頚椎症と呼ばれる首の脊椎の病気です。頚椎から神経が出ていく部分を何らかの原因で圧迫され、痺れや筋力の低下などの症状が出てくるものです。たとえば頚部脊柱管狭窄症では、脊髄が入っている管が細くなってしまい、神経が圧迫されます。

この場合、脳ではなく首の検査をしなければ分かりませんので、MRIで検査をされた場所が脳だけなのか、あるいは首もしっかり検査をしているのかが非常に重要になります。もし首の検査をしていないようでしたら、一度首のMRI検査も行ってみてください。

首に問題がなかった場合、さらにそこから下方へ辿って、末梢神経の途中で圧迫があるかどうかを調べなければなりません。たとえば手根管症候群といって、手首の正中神経が通る手根管という部分が圧迫を受けて痺れるということがあります。仕事などで手首を酷使される方、とくに女性に多いと言われており、人差し指や中指に症状が出ることが多いです。同じように、肘の部分で神経が圧迫されることもあり、その場合は小指側が痺れることが多いです。

手根管症候群などが原因の場合、手首を動かすことで病状が悪化してしまいますので、今行われているボール握りなどの運動が逆効果となってしまうこともあります。ぜひ一度整形外科も受診いただき、きちんと診断をしていただいた方が良いでしょう。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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