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医療と健康

2021年09月03日

「夏バテ」原因と解消法

9月。子供たちの夏休みも終わりとなり、秋の気配が感じられる日もあるが、そうかと思うとまた暑い日に逆戻りすることも。このような季節の変わり目の時期は、とくに夏の疲れがどっと出る時期でもある。そこで今回は「夏バテ」について、その原因と解消法について特集しよう。

自律神経の乱れが原因

「夏バテ」というものは「熱中症」とは異なる。熱中症とは暑さや脱水などから引き起こされるものであるが、たとえ冷房の効いた部屋で毎日過ごしているという場合でも夏バテになるケースがある。これは夏バテの原因が自律神経の乱れからきているケースが多いためだ。

自律神経とは、自分の意志とは無関係に働いてくれるものである。たとえば我々の体は、心臓をポンプのように動かして血液を全身に巡らせてくれたり、肺で呼吸を行ったり、食べたものを胃で消化し、腸で栄養素を吸収したりする。これらはたとえ夜眠っている間でも、絶え間なく働き続けてくれているが、これらの働きを無意識下でコントロールしてくれるものが自律神経である。この自律神経の働きが乱れると、体に様々な不調が現れる。夏バテというのもその一つなのだ。

では、自律神経の乱れによって引き起こされる夏バテについて、どのような症状が現れるのか。その原因と合わせて解説しよう。

食欲低下で体力減退
水分摂取で脱水状態を回避

■食生活の乱れによる夏バテ
自律神経は胃腸の働きもコントロールしているため、自律神経が乱れると胃腸の働きも弱まってしまう。そのため食欲が失われてしまうのだ。食欲がなくなり、食事の量が減ってしまうと、当然、体に必要な様々な栄養素やビタミン、ミネラルなども不足してしまう。これでは体力も減退してしまうし、ビタミンやミネラルが不足すると余計に自律神経が乱れ、悪循環となってしまう。体力が落ちることで体のだるさや疲労感も現れる。

また、食べる量が減ってしまうと、それに合わせて水分の摂取量も減ってしまう。人は通常、一日に4リットルほどの水分補給が必要とされているが、そのうちおよそ7割は食事から摂取していると言われているのだ。
食事量が減ると、自分自身では気が付かないうちに脱水状態となり、熱中症も引き起こす可能性もある。

逆に、熱いからといって冷たい水やジュースばかり口にしたり、そばやそうめんなど、冷たくて口当たりの良いものばかりを食べ続けてはいないだろうか。冷たいものばかりを口にしていると、胃腸も冷えてしまい、働きが低下してしまう。するとさらに食欲が低下したり、下痢をして、脱水になり夏バテが進行してしまうこともある。また食事が偏ると必要な栄養素が補給できず、これも夏バテを進行させてしまう。

大切なのはやはり栄養バランスである。疲労回復に良いビタミンB1、B2 、クエン酸などを多く含む食材である豚肉や、納豆、豆腐などの豆類、うなぎ、いわし、ゆず、レモン、梅干などを積極的に取り入れていただきたい。スタミナをつけようと肉類ばかりを食べていると、胃腸に大きな負担がかかり、逆効果となってしまう事もあるため注意が必要だ。

■冷えすぎによる夏バテ
先にも書いたが、夏バテと熱中症は異なる。毎日冷房の効いた涼しい部屋で過ごしているのに夏バテ気味というのは、体を冷やしすぎていることが原因であると考えられる。体を冷やしすぎると血行が悪くなり、頭痛、肩こり、腰痛などを引き起こす。また、冷えた室内から急に熱い外へ出たり、また冷えた室内に戻るなど、涼しい場所と暑い場所を行ったり来たりを繰り返すと、体温調節をしている自律神経の働きが乱れ、疲れがたまったり体調を崩したりしやすくなる。冷房の設定温度はこまめに調整し、オフィスやデパートなど温度調整できない場所では、すぐに羽織れる上着を用意しておくとよい。

 

朝夕にウォーキングなど
熱帯夜はエアコン利用を

■運動不足による夏バテ
日中の暑い最中に運動をするのは熱中症の危険があるため避けるべきである。しかし、だからといって涼しい室内に閉じこもってばかりもよくない。汗をかく機会が少なくなり、いざ暑い時にも汗をかけない体質になってしまうのだ。

涼しい朝や夕方に、ウォーキングなど適度な運動を行い、しっとりと汗ばむくらいに体を動かすことが夏バテ予防になる。また体を動かすことで胃腸への適度な刺激となり、食欲も増進する。

■疲労蓄積による夏バテ
夏は日が長いため、つい生活のサイクルが遅い時間へとずれてしまうことがあるだろう。しかし夏バテを予防するには疲労を溜めないことだ。そのためにはしっかりと休養をとることが重要である。

入浴についても、暑い時期はついシャワーだけで済ませてしまうが、一日の終わりにはぬるめの湯船にゆっくりとつかることでリラックス効果が得られ、乱れた自律神経を整え、ストレス解消の効果も期待できる。熱帯夜には我慢をせず、エアコンを利用すること。
エアコンをつけたまま眠ってしまうと、夜中に冷えすぎてしまうため、タイマーをうまく利用するのがおすすめだ。

眠りにつく少し前からエアコンをつけて、室温を28度くらいに保つと眠りに入りやすい。その後、夜中に自動でスイッチが切れるようにしておくと冷えすぎを予防できる。
また、エアコンや扇風機は風向きに注意すること。風を直接体に当ててしまうと、体の表面の熱と水分が奪われ続け、寝ているのにもかかわらず疲労が蓄積したり脱水状態に陥る危険もある。

表に、夏バテを起こしやすい生活習慣をまとめたので参考にしていただき、元気に残暑を乗り切っていただきたい。

 

高谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 /医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック健診協会 理事

    日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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