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2017年12月27日

コタツの熱で皮膚は急激に乾燥する! 皮脂の少ない人が日常生活で注意すること/冬の肌荒れ(3)

前の記事「尿素はかかと以外はNG!? 保湿外用剤の正しい使い方/冬の肌荒れ(2)」はこちら。

肌の水分蒸発は日常生活の中で起こりやすい

バリア機能が壊れた皮膚からは、どんどん水分が蒸発していきます。それを防ぐには、保湿外用剤に加えて、日常生活の中で、お肌が乾燥しにくい方法を取り入れることが大切です。石地先生にポイントを教えていただきました。コツは、刺激をなるべく与えないことにあるそうです。

「入浴や家事で水を使った後に、皮膚に水分が残った状態はよくありません。水分がついていると保湿されているように見えますが、その水分が蒸発するときに、バリア機能が破綻した皮膚の水分も一緒に蒸発させてしまうのです。つまり、乾燥肌がひどくなるということです。水でぬれた皮膚は、すぐに拭くことが重要です」と石地先生はアドバイスします。

室内環境にも落とし穴があります。密閉されたお部屋での暖房は、暖かくて快適ですが空気は乾燥しがちです。加湿器などで湿度を保つことが必要ですが、コタツを活用している方もいますね。暖房をつけなければ、お部屋の空気は乾燥しにくく、コタツに入れた体はポカポカ。でも、皮脂欠乏症の人にはコタツがよくないそうです。

「コタツの熱で皮膚は急激に乾燥します。温風ヒーターや電気毛布もしかりです。長時間使用していると乾燥した皮膚からどんどん水分が失われることで衣類などの刺激によりかゆみを帯びます。電気毛布では、かゆくて夜中に目が覚めるといったことにも、つながるのです。部屋全体を暖めながら加湿器を使用することが、皮脂欠乏症の方の皮膚を守ることになります」

バリア機能が壊れたお肌は、水分を蒸発しやすく刺激にも弱いため、生活習慣で保湿を考えることが不可欠です。中にはお肌の潤いは、コラーゲンなどを摂れば保たれる」と思う方もいるでしょう。コラーゲンは皮膚に必要なたんぱく質ですが、骨や靭帯など体のさまざまな組織でも欠かせない成分です。コラーゲンを摂ると、体内で吸収分解されてアミノ酸という小さな成分になって、再び組織に必要なコラーゲンに合成されるのですが、必ずしも皮膚のコラー ゲンに用いられるわけではないのです。

「コラーゲンは摂ってもよいのですが、それが皮脂欠乏症の改善につながるとはいえません。 むしろ、皮膚を直接守ることが大切です」と石地先生。

食事は栄養バランスに気を付けて健康に役立て、乾燥したお肌は、保湿を意識した生活習慣の見直しをするのが得策です。

「生活習慣を一つずつ改善することで、肌のバリア機能を守ることにつながります。バリア機能の破綻は、ハウスダストなどによるアトピー性皮膚炎の悪化にもつながるため、ぜひ改善していただきたいと思います」と石地先生は話します。

お肌を守れば、冬場の皮膚のかゆみも避けられますし、湿疹も起こしにくくなります。年末年始は、特に水仕事が多くなる時期ですから、保湿で皮膚のバリア機能を維持しましょう。

知っておきたい達人のツボ 1
◎アトピー性皮膚炎と皮脂欠乏症の違い

皮脂欠乏症は、皮膚の表面のバリア機能が壊れたために皮膚が乾燥した状態です。そうなってしまうと外部からの刺激をダイレクトに受けやすいので、湿疹や炎症につながります。一方、アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患と考えられがちですが、皮膚が乾燥しやすいという側面もあるのです。そして、乾燥などによるバリア機能の破綻が皮膚のアレルギー性炎症を引き起こすきっかけになります。皮膚の炎症は、さらに皮膚の乾燥を引き起こします。

知っておきたい達人のツボ 2
◎ターンオーバーとは

皮膚の表面の表皮の細胞は何層にも重なっています。この表皮の細胞は、約1カ月ではがれ落ちて新しい表皮の細胞と入れ替わります。これをターンオーバーと いいます。


石地尚興(いしじ・たかおき)先生

いしじ・たかおき 東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科診療副部長。同大学教授。1984年京都府立医科大学卒。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会専門医・指導医、日本性感染症学会認定医。患者に分かりやすいスキンケア指導でも定評がある。


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