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コラム

2017年01月10日

「7歳までは神」という考え~自然を敬う心 おかげさまの心 連載10

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新しい年を無事に迎えられる事に有難い気持ちでいっぱいです。

自然の偉大さを真摯に受け止めて、人の在り方、そして生き方を問い直しながら、暮らしに息づく先人の知恵や作法を今年も少しずつご紹介したいと思います。

さて、江戸の人達はどのような人間観を持っていたのでしょうか?自然への畏れと一緒に、自然を敬う心を持っていたと考えられます。

まず《子供は天からの授かりもの》という考え方で「7歳までは神のうち」といわれていました。江戸時代は生まれてから3歳になるまでの死亡率は25パーセントで、その原因は伝染病などが主なものでしたが、その命はすぐに何処かへ行ってしまうと考えられていました。それとは反対に、92歳までお城勤めをした長生きの武士の記録も残っていますし、『養生訓』を書いた貝原益軒は84歳でした。しかし平均寿命がはるかに短かったのは、子供の死亡率が高かったからでしょう。だからこそ子供を大切にし、7歳になってようやく手元に来るという考えと、国の宝であるという考えがありました。

また《草主人従》という辞書にはない言葉ですが、字の如く草が主で人が従者という意味です。草は自然の代表で、その自然の中で人間が生かされているという考えをこの言葉で表現しています。当時の人も、人が自然を征服するのではなく、自然に抱かれ、そして包まれて暮らしている事を日々の生活の中から実感していたようです。

だからこそ人間の力を超えたところで物事が動いているということも悟っており、「おかげさま」「お互いさま」「世間さま」「おてんとうさま」という言葉を使っていたのだと思います。「おかげさま」とは、誰かのおかげで自分があるということですが、少しずつ力がついて周囲からだんだん認められるようになると、己の力だけで何でも出来るようになると勘違いしがちになりますが、とんでもない間違いです。沢山の人達のおかげで自分があるということは常に心に留めて置きたいことです。

冬の澄んだ空気の下、輝く太陽に照らされて、ふと自分の後ろを見るとピタリと影がついています。全く当り前の光景ですが、もしこの影が消えていたとしたら……いかかがしょうか? 大変不安な気持ちになってしまいます。いつもどんな時も、誰かしらが後ろで影になって支えてくれているという証のように私には感じます。

江戸時代も平成の世も、新しい年の希望に向け立てられる、竹に松をあしらい稲わらで作った縄できりっと元気良く巻き上げた門松や、同じく稲わらを使った注連縄は縁起物として使われています。江戸の共生は自立した人間同士、そして自然との共生であったように、今年は自然と向き合い、お互いに寄り添いながら「おかげさま」の心で毎日を心豊かに暮らしていきたいと心新たに考えます。(老友新聞社)

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酒井 悦子
  • 伝統芸能コーディネーター
  • 筝曲演奏家

幼少より生田流箏曲を学び、現在は国際的に活躍する箏演奏家。

箏の修行と同時に、美術骨董に興味を持ち、古物商の看板も得る

香道、煎茶道、弓道、礼法などの稽古に精進する一方で、江戸文化の研究に励み、楽しく解りやすくをモットーに江戸の人々の活き活きとした様子と、古き良き日本人の心を伝えている。

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