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2018年02月26日

子供が楽しみにしていた日「初午」ってナニ? 連載23

2月最初の午の日が初午です。

稲荷社では「正一位稲荷大明神」と書かれた赤や白の幟が立ち、狐の大好物とされている「油揚げ」やお酒、お赤飯が備えられます。稲荷社の総本山と言われている京都の伏見稲荷に神様が降りたのが和銅4年(711年)の2月11日だからだと伝わっています。

稲荷はもともと農耕の神様でしたが、商人も祀るようになり、だんだんと商売繁盛の神様になっていき、さらに開運、来福の神とされるようになりました。

 

その昔、江戸には、今では考えられないほど沢山の狐が住んおり、田の神の使者として大切にされ、春にはお供え物をする風習もあったそうです。この東京に狐が出たかと思うと、なんとも微笑ましい気もいたします。

江戸の町には稲荷社が多く「伊勢屋稲荷に犬の糞」と言われ、各大名のお屋敷や旗本屋敷のほかにも、商家や長屋などでも稲荷社は守神として祀られていました。現在赤坂にある豊川稲荷別院は大岡越前のお屋敷に祀られていた稲荷です。

 

稲荷社を祀っていた大名屋敷では、初午の日には商家や長屋の子供達を招き入れて遊ばせたそうです。子供にとっては年に一度の大名屋敷の開放日です。普段はいただけないようなご馳走などもあり、それはそれは楽しい一日だったはずです。

また、元気に太鼓を打ち鳴らし「おかんけん」といいながら各家を回り、勧化(お賽銭や寄付)を貰うこともあったそうです。仮装はしないまでも、なんとなくハロウィンを想像します。

町ごとに最低でも一つは稲荷社があったので、江戸では相当な数の稲荷社があった事になります。その中で特に有名なのが王子稲荷。関八州(現在の関東地方)の稲荷社の総元締めとされ、毎年大晦日には王子稲荷のすぐ側の装束榎に境内の狐達が集まって官位を決めたとされています。この時の狐火を見て次の年の豊凶を占ったりもしていました。

想像するだけでも幻想的な様子です。昔話に登場する狐はだいたい人を化かしたり、あまり良くは描かれていません。でもどうでしょうか? この様子を思い浮かべると、狐達に申し訳ないような気がしてきます。

王子稲荷では初午の日(現在では2月の午の日)に凧市がたっています。凧は「風を切る」事から火伏せの縁起物です。凧を買って家に飾ると火事から逃れられると言われてきました。火事が多かった江戸ならではの縁起物です。

 

今でもいろいろな凧を売る店がたち並んでいます。私の住む近所のお稲荷さんでも、初午の日はピーヒャラトントン賑やかで、子供の頃からお正月の次は初午と、考えてみると神社では子供心に楽しいイベントが続いていました。

大人になるにつれて節目節目の行事も心に留める事も少なくなり、気が付かないままに流され過ぎてしまいます。江戸から伝わる伝統的な行事に少しだけ心を寄せていけば、もっと江戸の人の息遣いを身近に感じることが出来ることでしょう。

稲荷社は日本全国どこにでもあるので。いそいそ足を運んでみるのも楽しみの一つです。また、妻恋稲荷(文京区)では初午の日に狐憑きからのがれるお守りもあったそうです。今でしたらストレスから開放されるお守りといったところでしょうか。(老友新聞社)

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酒井 悦子
  • 伝統芸能コーディネーター / 筝曲演奏家

幼少より生田流箏曲を学び、現在は国際的に活躍する箏演奏家。

箏の修行と同時に、美術骨董に興味を持ち、古物商の看板も得る

香道、煎茶道、弓道、礼法などの稽古に精進する一方で、江戸文化の研究に励み、楽しく解りやすくをモットーに江戸の人々の活き活きとした様子と、古き良き日本人の心を伝えている。

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