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2016年12月26日

高齢者の「眠りのはなし」第4回

パラマウントベッドがお届けしてきた高齢者の「眠りのはなし」は今回で最後です。最終回は、パラマウントベッドが開発した「眠りSCAN(スキャン)」というシート型体振動計を紹介します。この「眠りSCAN」は、睡眠研究のほか、一般向けの睡眠計測サービスでも使われていますが、見守りロボットとして介護施設でも活躍しています。

 

4.睡眠を見守り

「眠りSCAN」はマットレスの下に設置することで、「ベッド上に人がいるかいないか、眠っているか目が覚めているか、呼吸数、心拍数」を連続測定できる医療機器です。介護施設では、この測定結果をリアルタイムで集中管理(図2参照)して入居者の見守りに役立てられています。この測定結果はiPhoneやiPadのような携帯端末でも確認することができます。このように入居者の状態が見える化できると、眠りを妨げないように目が覚めているときにおむつ交換をする、転倒リスクの高い人は起き上がったら駆けつける、などタイムリーな対応ができるようになります。

また、測定結果は記録に残るので、睡眠日誌(図3参照)のような形で睡眠習慣を確認し、介護に役立てることもできます。睡眠日誌を含んだレポートを定期的に家族と共有している施設もあります。睡眠日誌と一緒に呼吸数日誌(図4参照)も確認することで、体調の変化に早く気づくことができるというメリットもあります。体調が悪くなると、眠れなくなる、ベッドにいる時間が増える、呼吸数が速くなる、など「眠りSCAN」の測定データに何らかの変化が現れることが多いです。体調変化の早期発見で重症化の予防に役立つことが期待されます。

睡眠を見守ることは入居者のためになるだけでなく、介護施設の職員の負担軽減にも役立っているようです。特に夜勤は負担が大きく、「職員が集まらない・辞めてしまう」という問題を多くの介護施設が抱えているという背景もあり、職員の負担を軽減するために「眠りSCAN」を導入するというケースが増えてきているようです。介護職員の不足という社会的課題の解決に少しでも役立てば良いなと期待しています。

その他にもまだ芽は出ていませんが、「眠りSCAN」は介護施設での見守りロボットだけでなく、いくつかの社会的課題の解決に役立つと考えられ、今後の活用が期待されるため、パラマウントベッド睡眠研究所の研究テーマの中心は「眠りSCAN」に関連した研究となっています。少しでも社会貢献になればとの思いで研究に取り組んでいます。

 身体にセンサーを装着する必要がある睡眠測定機器では認知症患者などの睡眠を測定することは難しく、健常者でも長期間の自然な睡眠状態を測定することは困難でした。「眠りSCAN」は認知症患者を対象とした睡眠研究、急性期病院の入院患者を対象としたマットレスが睡眠に及ぼす影響の研究などにも使われています。見守りロボットして普及が進んできた「眠りSCAN」ですが、このように睡眠研究で使われるくらいの信頼性の高い睡眠データを介護現場で日常的に連続測定できることは、介護研究を促進し、介護の質の向上や介護職の専門性の向上にも役立つことが期待されます。

(パラマウントベッド睡眠研究所 木暮貴政)

 

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図1.シート型体振動計「眠りSCAN」
マットレスの下に設置するため、自然な眠りを妨げない。

 

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図2.「眠りSCAN」による見守り(睡眠状態の一覧表示)
介護施設で見守りロボットとして活用されている。

http://www.paramount.co.jp/contents/6959

 

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図3.睡眠日誌(2週間表示)
夜間に何回かベッドから離れていること、日中に眠っていることが分かる。

 

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図4.呼吸数日誌(2週間表示)
測定期間の後半から、呼吸数が速い時間帯が出現し始め、最後の2日間は呼吸数が30[回/分]を持続的に超えている。

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