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2018年12月21日

インフルエンザ、肺炎球菌、風疹…この時期に注意したい感染症について

この時期になると心配しなければならないものがインフルエンザへの感染だ。とくに我々高齢者は、インフルエンザに感染すると肺炎も併発しやすく、重症化して命にかかわる事にもなりかねない。そこで今回はインフルエンザワクチンやその他の予防接種の重要性についてまとめてお伝えしよう。

高齢者は肺炎を合併、重症化の危険も

インフルエンザは毎年11月頃から感染が広まり、12月から3月頃にかけて猛威を振るうウイルス性の疾患である。インフルエンザウイルスは大きく分けてA型、B型、C型の3種類があり、そのうち人間に感染をするのがA型とB型である。
感染をすると、まず何の症状も現れない潜伏期間が1~3日ほど続き、その後発症をすると喉の痛みや咳、そして発熱など風邪と良く似た症状が現れる。しかし風邪よりも急激に重症化し、全身のだるさや痛みを伴うこともある。
とくに高齢者の場合は免疫力が低下していることもあり、肺炎を合併したり、場合によっては命の危険もあるほど重症化するので、インフルエンザが疑われる症状が出た場合には出来る限り早く医療機関を受診すること。
注意しなければいけないのは感染後の潜伏期間である。この時期ははっきりとした症状が現れないため、学校や会社へ行ったり、電車に乗るなど通常の生活を送ってしまう。その間でもウイルスの感染力はあるため、他人に移してしまう恐れがある。

インフルエンザの予防は、ウイルスに感染しないよう身を守ることである。インフルエンザウイルスの感染は「飛沫感染と「接触感染」の2経路で、インフルエンザに感染している人が咳やくしゃみをした際に飛び散り、拡散したウイルスを吸い込んでしまうことで感染する。また、感染者がドアノブや手すり、つり革などを触れた際にウイルスが付着し、そこから感染することもある。

感染を予防するには、外出の際にマスクをして飛沫感染を防ぎ、さらに外出から帰った際には手洗い、うがいを励行し接触感染を防ぐことである。また、インフルエンザが流行する時期にはなるべく人ごみを避ける。
室内では、加湿器などで適度な湿度を保つとよい。ウイルスは湿度に弱く、逆に乾燥をしていると気道粘膜の防御力も落ちてしまうため感染しやすくなってしまうためだ。
もうひとつ重要なのは、ウイルスに対する抵抗力を身に付けること。十分な栄養をとり、しっかりと睡眠をとることを心がけることだ。

インフルエンザの予防接種は早目に毎年

そして最も確実な予防法は、やはりワクチンの予防接種である。この時期になると、多くの病院でインフルエンザワクチンの予防接種を受けられる。
注意いただきたいのは、ワクチンの効果が表れるのに接種後2週間ほどかかるということ。流行が始まる少し前から、ワクチン接種の予定を立てておくと良い。
また、昨年ワクチン接種をしたからといって、今年は接種しなくてもよいということではない。インフルエンザウイルスの「型」は毎年異なり、その型に合せたワクチンを毎年接種しなければ意味がないのだ。また、接種したワクチンの効果が期待できるのはおよそ5か月程度までなので、インフルエンザワクチンは「早めに」「毎年」接種することが大切だ。

肺炎球菌に二次感染の恐れも!
高齢者は定期予防接種を

インフルエンザとあわせて注意をしなければならないのが肺炎である。インフルエンザに感染し、治癒した頃に「肺炎球菌ウイルス」に二次感染するケースが多く、その場合は重症化しやすく、とくに高齢者にとっては非常に危険である。
肺炎球菌ウイルスは上気道などにもともと存在しているものだが、インフルエンザに感染して免疫機能が低下しているときに感染し、重い肺炎を発症してしまう。

感染すると咳や全身のだるさ、高熱などインフルエンザに似た症状のほかに、息苦しさや胸に痛みを感じたり、黄色や緑色をした痰が出る。日本人の死因の中で第3位が肺炎であり、その殆どが65歳以上の高齢者である。重症化させないためにも、やはりワクチンの予防接種が重要だ。

平成26年から、65歳以上の高齢者への肺炎球菌ワクチンの定期接種が開始されている。平成30年度までは「65歳、70歳、75歳…と5歳刻みで100歳までの方と、60歳から65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方」が定期接種の対象となっており、公費助成を受けて割安で接種することが可能だが、対象でない方は自費による任意接種となる(平成31年度からは65歳のみが定期接種の対象となる予定)。
インフルエンザと異なり、肺炎球菌ワクチンは一度接種するとおよそ5年間は予防の効果が持続すると言われる。まだ一度も接種したことのない人は、インフルエンザワクチンとあわせて接種されることをお勧めする

風疹が大流行の兆し
すでに昨年の5倍の患者

最後に、今年大流行すると言われている「風疹」について。18日、国立感染症研究所より風疹患者数が昨年1年間の約28倍の2586人になったと発表された。
風疹は感染すると2~3週間経過した後、普通の風邪と同じような症状が現れるが、その後数日すると発疹が出始める。まず耳の後ろ辺りからポツポツした赤い点状の発疹が現れ、やがて全身に広がって、3~5日くらいで消失する。
とくに命にかかわるものではなく、通常はそのまま回復する人が多いが、妊娠初期16週くらいまでの妊婦さんが風疹に感染すると、胎児に白内障や難聴、先天性の心臓病など、さまざまな奇形を合併する恐れがある。小児期に行う風疹の定期予防接種は一時中断されていた期間があり、また一度感染して体内に抗体が作られたとしても、長い年月が経つと風疹ウイルスへの抗体価が下がってくる場合があるので、一度風疹に対する抗体の強さを検査してみると良いだろう。

「転ばぬ先の杖」ではないが、大流行をする前に、早めにこれら予防接種をしていただくことをおすすめする。(老友新聞社)

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