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2019年11月22日

心臓のトラブルは様々~心疾患の症状と治療法

朝、寝床から起き上がるときに胸がギュッと痛む。駅の階段を登ったら心臓がどくどくと早鐘を打つ。何もしていないのに胸がズキズキと痛む……。このような症状を経験したことはないだろうか。年を重ねると様々な痛みや身体の変調を来たすが、場所が胸・心臓であると命に関わることもある。そこで今回は、心臓にまつわる様々な疾患のうち代表的なものについて詳しくお伝えしよう。

患者数は172万人余
過度の飲酒やストレスも原因

心臓は、一定のリズムで電流を流し、心筋を収縮・拡張させて、ポンプのような動きをして血液を全身に巡らせるという重要な役割を担っており、人が生きるうえでは決して欠かすことのできないもの。我々が夜眠っている間も絶え間なく動き続ける働き者である。この心臓に何らかのトラブルが発生すると、ポンプの動きが速くなりすぎたり、遅くなりすぎたり、不規則になったりすることがある。万一、その動きが止まってしまえば、それはすなわち命を落とすということになる。

厚生労働省による平成26年の「患者調査」の結果によると、心疾患(高血圧性のものを除く)の患者数は172万9千人にのぼり、同じく厚生労働省発表の平成27年「人口動態統計の概況」によれば、心疾患による死亡者数は19万6千人となる。これは悪性新生物(がん)による死亡者数に継いで2番目に多い数字であり、死亡数全体の15.2%になる。
心臓の病気、心疾患には様々な種類があり、放っておくと命に関わる疾患も多い。その症状や原因、治療法などを疾患ごとに説明しよう。

急に意識失う「頻脈」
「徐脈」にはペースメーカーを

■不整脈

心臓とは筋肉の塊のような臓器であり、洞結節という場所で作られる電気信号によってその筋肉が収縮運動を起こし、ポンプとしての役割を果たしている。この洞結節で作られる電気信号のリズムが崩れると、筋肉の収縮運動も乱れてしまう。この乱れた脈の状態を不整脈と言うが、不整脈には、脈が速くなる「頻脈」と、脈が遅くなる「徐脈」、2つのタイプにわけられる。

たまに起こる不整脈や症状のない不整脈については、実はほとんどが無害であり、過度な心配は無用である。
たとえば階段を登った後や、緊張をしたときなどに脈が一時的に速くなったりする場合などは、呼吸を落ち着かせてリラックスすることで解消してしまう。
しかし、中には医師の診断、治療をしなければならない不整脈もある。たとえば、何もしていないのに、体がふらっとしたり、急に意識がなくなり失神してしまうような不整脈である。これは、心臓を動かすために洞結節が作り出す電気信号に異常があるなどして、一時的に心臓が停止してしまっている、あるいは電気信号が本来通るべき道筋と異なる場所を通ってしまい、非常に速い頻脈になっている場合に起こるものである。

次に注意しなければならない不整脈は、脈拍が1分間に40回以下という極端な徐脈になり、安静にしている状態でも強い息切れを感じるような場合である。このような症状が出る場合には、ペースメーカーを埋め込むなどの治療が必要になることもある。
不整脈は、正しい診断と治療を行なうことによって殆が治せるようになっている。最近では投薬やペースメーカー治療に加え、主に頻脈に対する治療法として、カテーテルアブレーションとよばれる治療法も進歩している。

胸や肩に圧迫痛
冠動脈血流が減少、停止

■狭心症

人間の身体を構成している筋肉や臓器などは、血液が巡っていないと酸素や栄養素が不足して活動が停止、つまり死んでしまう。それは心臓も同じことであり、心臓自体に血液が循環していなければその役割を果たすことはできない。そのため、心臓の周りには「冠動脈」という血管が張り巡らされているのだ。
この冠動脈が、何らかの原因で収縮して細くなったり、血管の内部が詰まりかけると、血流量が少なくなり、心臓に強い負担がかかってしまう。この状態が狭心症である。狭心症になると胸やみぞおち、肩などに圧迫されるような痛みが発生し、時には歯が痛むこともある。
駆け足をしたり、階段を登ったり、重いものを運んだりしたときに痛みが発生する場合は「労作性狭心症」が疑われる。身体を激しく動かす際には、心臓も
たくさんの血液が必要になる。このようなときに冠動脈の血流量が少ないと労作性狭心症が発生するのだ。

一方で、眠っている間や朝起床した際に胸が痛くなる場合は「安静時狭心症」が疑われる。冠動脈が一時的に痙攣を起こして収縮し、安静時でも血流が止まったり少なくなり痛みが発生する。
狭心症は血液を広げる薬を使用したり、細くなった冠動脈の中にカテーテルを挿入して広げたりする治療が一般的である。

■心筋梗塞

狭心症の症状がさらに悪化し、冠動脈の血流が完全に止まってしまうと、心筋の細胞が壊死してしまい、心臓のポンプ機能が著しく低下してしまう状態が心筋梗塞である。
心筋梗塞が発症すると、胸に非常に激しい痛みや圧迫感を覚え、場合によっては肩や首、背中の方にまで痛みが広がる。吐き気を感じたり冷や汗をかいたりすることもある。
症状が出た後、早急にカテーテル治療などを施さなければ心臓が停止してしまい、命を落とすことにもなる怖い病気であり、治療が早ければ早いほど救命率は上がる。

今回紹介した心臓にまつわる病気は、日々の食生活や運動習慣の見直しなどで予防をすることができる。また、喫煙や過度の飲酒、ストレスなども発症の原因となる。命に関わる怖い病気のため、注意していただきたい。(老友新聞社)

高谷 典秀 医師
  • 医療法人社団同友会 理事長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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