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2019年07月03日

「風を孕んで藤棚越えて 泳ぐ曾孫の鯉五匹」2019年6月入選作品|老友都々逸

老友新聞2019年6月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)

天の位

風を孕んで藤棚越えて
泳ぐ曾孫の鯉五匹

勝亦 はる江

鯉のぼりの泳ぐ四月下旬から五月上旬はちょうど藤の花のよろしい頃ですね。都会ではほとんど見られなくなった鯉のぼりで懐かしい。

地の位

桜ふぶきをまきあげながら
バッチを目指して選挙カー

橋本 くにお

選挙は身近かな小さいものほど気骨の折れるものですね。

人の位

オリンピックに行く気になって
心ワクワク切手買う

菊地 幸子

オリンピックの開会式や競技などを生で観る入場券の入手は大変なのだそうですね。

十 客

風に吹かれて花びらおちた
池に浮かんでまた咲いた

山田 浩司

下の句が見事です。花びらへの情合があります。

「大安吉日」選んで祝う
験を担いで夢を追う

冨田 いつ子

誰しも多かれ少なかれ験(げん)を担ぐものです。直感とかお告げとか言ったりして…。

曾孫空手着格好良くて
三位笑顔の初メダル

仲高木 まつ

どんなに曾孫さんを愛していらっしゃるかが一語一語によく表れています。

硬貨や紙幣は必要無しよ
財布のいらないプリペイド

櫓木 香代子

カードの落とし穴には充分ご注意くださいね。

二度と戦争やっちゃあ駄目だ
死んだ兄貴の叫び声

仲野 まつ乃

何十年経っても兄上のお声は正しく、兄上の無念さを共有なさっていますね。

痛む足腰病院通い
行ける私は今が花

惣野代 英子

「今が花」と言い切った点がいい。都々逸が作れる、字が読める…。みんな「今が花」と思って生活すると心が明るくなりますね。

地震津波と原発までも
同時発生地獄絵図

小林 良一

全国に大きく報道された北日本の惨事を私共は忘れていません。

桜と一緒に去らねばならぬ
口が滑った人ひとり

松本 タケ

新聞種になって公職を去って行く。口は災いの元の諺そのまま。

偉い人程其の一言が
命取りにもなりかねぬ

鈴木 とく

そうなんですね。分かっているのにね。

締めたつもりの心の紐も
ゆるみかけそなおぼろ月

飛田 芳野

ゆるむ心も月の所為(せい)と言える程の良い朧に出会ったのですね。

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