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コラム

2020年09月23日

言葉は人柄を表す。笑顔も生み出せる。「小さなひとこと」

御礼の気持ちや感謝をあらわすのに、いくつの言葉があるだろうか。

英語なら「サンキュー」。日本語なら「ありがとう」。
これを形にするとなると、御礼、感謝、志、謝礼、御年玉、御祝儀、御小遣い、御祝。
人により、意味合いにより、立場により…。日本ほど表現の多い所はめずらしいのではないか。日本人はなんてていねいなんだろう。

誰だって御世話になったら御礼がしたい。美味しいものがあれば贈りたい。そんな時、一言の感謝を届けたい。そんな心遣いが日本人のコミュニケーションを作ってきたのではないか。
手作りの装飾品を贈って下さる方もあって、私は必ず御礼を出す。私に贈るまでに、何を贈ろうかと迷っただろうし、贈った後は受け取ってくれたかどうか、気になるはずだ。

公人の贈収賄(ぞうしゅうわい)はもっとややこしい。
告別式に御線香を持って行った人が話題になっていた。政治家とのつきあいは当然、問題になるだろうけど。
いつか友人達十人と議員とで、当選祝いをやった時も、その議員は割勘で、自分で払っていたし、私のパーティーでも市長は自分の会費を払っていた。忙しいのに来てくれて、会費を払ってくれて良いのかな。
でも、あれもあかん、これもあかん、あげたらあかん、貰うたらあかんでは不景気を助長するばかりだ。
消費をうながすように、私が知事やったら考える。
「ごめんなさい知事」

昔は中元や歳暮のカタログにレミーマルタンやボルドーが載っていたのですよ。自分で買うのはもったいないけれど、貰ったらうれしい。
いつか私がエッセイで日本酒のことを書いたら、日本酒が5軒から届いた。また、週刊誌『国別食卓日誌』に、「栄太郎ののど飴に風邪をひいた時の講演を助けられた」と書いたら、栄太郎の飴が贈られてきた。サプライズの贈り物はうれしい。

京土産でうれしいのは、八つ橋と京漬物だ。生八つ橋はここちよい甘さが嬉しい。漬物は保存食として、「最後の一口」だったのに、今や京を代表する御土産になった。

現在、多様な素材が多様な演出で展示されている。
私は現在、京都市の教育委員会の「ジュニア日本文化検定」の座長をしているが、最近、応募作品に漬物をとりあげる生徒が増えてきた。漬物を保存食のみならず、京の味としてとらえているようだ。四季の野菜が豊富な今、漬物も主役の座に着こうとしている。

先日、北海道から帰りの飛行機の中で、私の好きなチョコレートを食べていたら、隣席の四十代の女性が声をかけてくれた。
「主人の会社のチョコレートを食べて頂いて、ありがとうございます…」
「私、これ好きなんですよ」
「うれしいです。主人に伝えます」
きっと仲良しの御夫婦なんだろう。夫の会社の商品をほめてもらって、悪い気はしない。
なんでも、小さなひとことからだ。小さなひとことが、その人の人柄をあらわし、笑顔がうまれる。
(本稿は老友新聞本紙2018年12月号に掲載した当時のものです)

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市田 ひろみ
  • 服飾評論家

重役秘書としてのOLをスタートに女優、美容師などを経て、現在は服飾評論家、エッセイスト、日本和装師会会長を務める。

書家としても活躍。講演会で日本中を駆けめぐるかたわら、世界の民族衣装を求めて膨大なコレクションを持ち、日本各地で展覧会を催す。

テレビCMの〝お茶のおばさん〟としても親しまれACC全日本CMフェスティバル賞を受賞。二〇〇一年厚生労働大臣より着付技術において「卓越技能者表彰」を授章。

二〇〇八年七月、G8洞爺湖サミット配偶者プログラムでは詩書と源氏物語を語り、十二単の着付を披露する。

現在、京都市観光協会副会長を務める。

テレビ朝日「京都迷宮案内」で女将役、NHK「おしゃれ工房」などテレビ出演多数。

著書多数。講演活動で活躍。海外文化交流も一〇六都市におよぶ。

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