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2023年03月16日

緑内障の疑いと診断されたが完治するの?

緑内障と診断され、もう2か月も点眼薬を使用しています…。

64歳の女性です。以前、涙と目やにが多く出るために、近くの眼科を受診しました。その際に、念のため目の奥の検査をしていただいたのですが、その結果、緑内障の疑いがあると言われました。
その後、涙と目やにの症状は治まったのですが、緑内障を治療する目薬を毎日さすことになりました。
それから2カ月以上経っているのですが、いまだに目薬を使い続けています。
痛みや、目が見えにくくなるような症状は無いのですが、まだ目薬をささなければならないのでしょうか。どれくらいで完治するものなのでしょうか、教えてください。

答え

眼圧上昇や視野異常…長い期間を経て進行します。

今回は緑内障の診断を受けた方からのご相談です。

私達の眼球は「房水」と呼ばれる液体で満たされており、内部から一定の圧力がかかっているために丸い形に保たれています。房水は「毛様体」という組織で産生されて眼球内を循環し、そして眼球の外の血管へと排出されます。この産生と排出のバランスによって、眼球内部の圧力は適切に保たれています。

この眼球内の圧力が「眼圧」というものですが、たとえば房水を排出する部分が目詰まりを起こすなど、様々な原因で房水の産生と排出のバランスが崩れると、眼圧が上昇し、眼球奥の網膜の視神経に負担がかかり、視野に異常が現れます。これを緑内障と言います。

稀ではありますが、眼圧が急上昇した場合には急速に視力が低下したり、目の痛み、頭痛、吐き気などの急性の発作を生じることもありますが、基本的には眼圧は徐々に変化を起こし、視野異常もゆっくりと進行します。

緑内障の診断は、この眼圧を検査すれば良いのですが、実は日本人の緑内障患者の過半数は正常な眼圧でも発症する「正常眼圧緑内障」です。この場合、眼底検査で視神経の状態を調べ、疑いがある場合には視野検査を行い、診断をします。

緑内障はまず視野の外側の部分から障害が起きますので、初期の段階では中心の視野は保たれています。人間は見ようとしている中心部分の視力が保たれていれば、意外と異常に気付かないことが多いのです。そのため緑内障の初期は自覚症状を全く感じない場合が多いのです。

あなたの場合は、目の奥の検査をしたという事で、おそらく眼底検査で視神経の状態を検査し、緑内障の疑いがあるので視野検査も行った結果、視野の欠損があったのではと推察します。

治療は、眼圧の上昇を抑える点眼薬を使用します。たとえ正常眼圧緑内障であっても、眼圧を下げることにより、それ以上症状が進行する可能性を低くすることができます。また、点眼薬で眼圧が下がらない場合、病状によっては手術やレーザー治療によって眼球内の房水の流れを変えることで改善させることもあります。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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