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2023年05月15日

肺炎球菌ワクチンは毎年接種するもの?

肺炎球菌ワクチン接種すべきか

70歳の男性です。肺炎球菌ワクチンについて教えてください。

4月くらいに、区から「高齢者肺炎球菌予防接種について」という知らせが届きました。私も接種の対象年齢になっているようで、年度末まで予防接種ができるとのことでした。いままで忘れていたのですが、先日部屋の掃除をしている時にお知らせの手紙が見つかり、気になりました。

「肺炎球菌」というものは、感染するとどのくらい重い病気になるのでしょうか。実費で4千円かかるということで、受けようか迷っております。
また、対象者は5歳刻みになっているようですが、インフルエンザのように毎年受ける必要があるのでしょうか。

答え

肺炎球菌ワクチンは5年程度効果が持続
感染、重症化を防ぐ目的

今回は肺炎球菌ワクチンの接種を迷われている方からのご相談です。
肺炎は日本人の死因の第3位であり、肺炎で亡くなる方の約90%以上が65歳以上の方ですので、高齢者の肺炎予防は大切なことです。

肺炎は様々な病原体で生じる病気ですが、大きく分けると、病院での院内感染によって起きる院内肺炎と、通常の生活で起きる市中肺炎の2つに区別されます。
この市中肺炎の中では肺炎球菌が一番大きな原因となっており、全体の3割を占めます。

例えばインフルエンザにかかり、その後、命に関わる程の病状に悪化するのも、この肺炎球菌による肺炎の併発が大きく関与しています。
そこでこの肺炎球菌ワクチンというものが注目され、平成26年からご高齢の方を対象に定期接種が実施されることとなりました。

肺炎球菌ワクチンは、一度接種するとその効果は長く続くことが知られています。5年程度経過すると徐々に抗体価が下がっていきますが、それでもしばらくは効果が残ります。
そのため、インフルエンザワクチンのように毎年接種する必要はなく、むしろ短い間隔で接種をしてしまうと、局所の腫れや痛みなどの副反応が強く出てしまう事がありますので、毎年受けることは推奨されていません。

肺炎は高齢者に多いため、肺炎球菌ワクチンの接種は65歳以上の方が対象となっております。また、呼吸器の持病をお持ちの方や免疫力が低下するような病気にかかっている人は、60歳~65歳未満の方でも定期接種の対象にもなります。ただし、国の助成による定期接種はすでに1度接種している方は対象外ですのでご注意ください。

肺炎球菌は、実は93種類もの血清型があり、定期接種で使われるワクチンは、そのうち23種類の血清型に効果があるものです。この23種類の血清型は、重症化する肺炎球菌感染のうち7割に対応できると言われていますが、それだけでは他の血清型や肺炎球菌以外の病原体で起こる肺炎については防ぐことができません。そのため予防接種を受けることはもちろん重要ですが、それだけではなく、日々の体調管理やうがい、手洗いなどを習慣づけることが大切です。

肺炎はひどくなればなるほど治療が難しくなります。風邪かな?と思っても、熱が続くとか、咳だけでなく痰も出る場合には肺炎が強く疑われますので、早めに病院を受診し、胸部X線などの検査を受けることをおすすめします。

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高谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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