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医療と健康

2023年08月15日

全身の痒みが治まらない…

全身痒くなり、掻いた場所は赤く腫れる

76歳の男性です。全身の痒みが治まらずに困っております。

昨年の12月頃から、全身あちこちが痒くなり、掻いた場所が赤く腫れたような感じになりました。
皮膚科に診てもらい、塗り薬を頂いたので、全身の痒みはだいぶ落ち着いてきた感じはしますが、それでもまだ痒みが続いています。
血液検査をしても、とくに異常は無いと言われましたが、それでも心配です。何か病気から来ているものか、あるいは悪い菌に感染しているのでしょうか。

答え

皮膚の乾燥が原因か。心配なら再度血液検査を

今回は痒みでお困りの方からのご相談です。

痒みというものは様々な原因で起きるもので、たとえば虫に刺された場合などは、その場所にヒスタミンなどの物質が出るなど化学的な反応が起き、痒みが引き起こされます。

あなたが心配されるように、内臓の病気によって全身が痒くなることもあります。肝硬変や腎不全になったりすると痒みを訴える方がよくみられ、血液疾患や糖尿病でも痒みが起きることもあります。
しかしこれらの病気ならば、血液検査によって肝機能や腎機能を見たり、血糖値などを把握することによって発見することができます。今回は血液検査の結果、異常はないということですので、このような病気が原因になっているということは今のところ心配ないと思います。

また、アレルギーのある食品を食べることで痒みや発疹が出ることもありますが、その場合、症状は一時的です。今回のケースは症状が比較的長く続いており、投薬治療をはじめてもまだ痒みが継続しているということなので、アレルギーによるものの可能性は低いかと思います。

症状が現れ始めたのが12月で、全身あちこちが乾燥して痒みが起きたということからは、皮膚の乾燥が関与していることが考えられます。冬は非常に乾燥しますので、ドライスキン、つまり皮膚の乾燥によって引きおこされる掻痒症というものがとても多くなります。とくにご高齢の方の場合には、加齢に伴い皮膚のバリアーも弱くなったりすることで、乾燥への抵抗力も弱くなってきます。

皮膚が乾燥すると、痒みの神経が皮膚の表面の近くまで伸びてきて、痒みをより感じやすくなることもあります。また、痒いからといって掻いてしまうと、さらに痒みの刺激を強くしてしまいます。あまり掻かずに、年間を通してしっかりと保湿をしていただき、ドライスキンを改善することが重要です。さらに抗ヒスタミン薬などの投薬を併用することで治療を進めていきます。

それでも症状が悪化する場合、もしかすると血液検査で病気を見逃していることもあるかもしれませんので、再度内科でのチェックも行ってください。稀にがんなどでも皮膚炎が起きたりすることもありますので、ご心配ならばがんの検査ということも主治医にご相談をしてみてください。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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