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2021年07月30日

有酸素運動のススメ~廃用性症候群を防ぐために

まもなく迎えるお盆休み、読者の皆さんはどのようなスケジュールを立てているだろうか。コロナ感染拡大を防ぐため、おうちのテレビでオリンピック中継を楽しむという人も多いだろう。しかし折角の機会、活発に外へ出て、なにか運動をはじめてみてはいかがだろうか。体を使わずにいると、体力、筋力が衰え、体に様々な悪影響を及ぼす。今回は高齢者が陥りやすい「廃用症候群」について、まとめてお伝えしよう。

心身の活動性が低下

廃用症候群という言葉はご存じだろうか。人間は、長期間体を使わないでいると、心身の活動性が低下してしまい、体に様々な悪影響を及ぼす。
たとえば、肺炎や心筋梗塞、骨折などで長期間入院を強いられた場合、その治療の間は、ベッドの上で安静を保たなければならない。看護師の介助を受け、寝たままの状態で食事や排泄を行うような状態だと、全く体を動かさなくなって、筋力が衰えてしまうのだ。さらに筋力だけではなく、自律神経や精神面にも奥栄今日を与え、これらの障害を総じて、廃用症候群と呼んでいる。

廃用症候群は、体を動かさないことにより起きる障害で、さらにその障害のために、いっそう体を動かせなくなってしまうという悪循環を生じてしまうのだ。また、高齢になるほど廃用症候群の発症が早く、さらに衰えた身体能力の回復も難しくなるという。
ご存じの通り、生活習慣病、あるいはメタボリックシンドロームなどは、体を動かさないということが大きな原因となっているため、それらを予防するためにも、できる限り体力を高い状態で維持したい。

廃用症候群が引き起こす影響は、身体的なものだけを紹介してみても、運動能力、体力の低下、心拍数反応の増加、血圧調節の障害、筋力の低下、呼吸機能の低下、循環血液量の減少、カルシウムの減少など様々ある。これらよりいくつかを解説する。

廃用症候群による様々な悪影響

まず、先にも書いた筋力の衰えによる運動能力、体力の低下だ。筋力は、使わなければ使わないほど衰える。もちろん、年齢を重ねるというだけでも自然と落ちてしまうものだが、運動をすることで維持をする事は出来る。

立つ、あるいは歩く、ただそれだけでも重力に逆らって、体重を支えることになる。日常的な活動をしているだけでも、ある程度の筋力を維持していることにはなるのだが、寝たきりでいると、最低限の筋力すら衰えてしまう。

たとえば宇宙飛行士。長い期間宇宙に滞在をしていると、その期間は重力の影響を受けず、体重を支える必要が無いために、過酷な訓練を受けた人間でも、自力で立てなくなってしまうくらいに筋力が衰えてしまうという。それを防ぐために、宇宙飛行士は宇宙でも筋力トレーニングをかかさずに行っているのだ。

筋力だけではない。なんと、体の中を巡っている血液の量も減少してしまうという。ベッドで寝たきりの生活を2週間続けていると、血漿量が8~12%、2~4週間では15~20%も減少してしまうと言われているそうだ。その結果、血液の粘度が増し、血栓を招く恐れもあるという。

また、血圧を調節する機能にも障害が起きてくる。寝たきりでいると、交感神経に障害が起き、血管の収縮機能が低下する。そのため、寝ている状態から体を起こし、立ち上がったときに、体の下の方から頭へ、血液を十分に送ることが出来なくなるのだ。
主な症状としては、顔色が悪くなったり、発汗、あるいはめまいなどを起こし、重症の場合には失神することもあるという。高齢者の場合、ほんの2~3日寝ていただけでも症状が発生することもあるそうだ。風邪や熱などで、数日安静にしていた後などは、十分気を付けなければならない。

ウォーキング・水中歩行など
有酸素運動の習慣を

筋力、運動能力、および全身の持久力を高めるには、有酸素運動が有効である。とくに「第2の心臓」とよばれる、ふくらはぎを中心とした運動が良い。足の筋肉を使って、呼吸を止めずに、リズミカルな運動をすると、酸素が有効に使われて、心臓や肺も鍛えられるという。

おすすめの有酸素運動は、ご存じウォーキングだ。軽く汗をかき、息が弾む程度の歩行で、1回10分~30分、1日合計30分以上、週に3日~5日を目標に実施すると良いそうだ。運動時間を続けて取ることが出来ない人の場合は、1日の間にできるだけ歩く機会を意識的に増やしてやると良いそうだ。

エスカレーターやエレベーターを使わずに、階段を使う。デパートで買い物をする際、できるだけ店内をぐるぐると回るようにする、目的の場所まで歩くのに、わざと回り道をするなど、出来るだけ歩く時間を増やす工夫をする事が大切なのだそうだ。また、ウォーキング以外にも、サイクリングや水泳、水中歩行も良い有酸素運動になる。

これらの運動は、併用症候群を防ぐばかりではない。足が鍛えられるということは、転倒しにくくなる体を作ることにもなり、また生活習慣病の予防にもなる。さらには、体を動かすことによって精神的にも明るく、活動的になれるのだ。

もちろん、無理をしてはいけない。とくに今の時期は熱中症にも気をつけなければならないので、体を動かすのは涼しい午前中か夕暮れ時がおすすめだ。そして水分補給も十分行うこと。
始めたばかりの人は、張り切って、いきなり速く歩こうとするが、これは怪我の元となる。なれるまでは普通の歩行速度で良い。また、膝や腰などに、元々痛みを抱えているような人の場合には、無理をせず、かかっている医師や専門医に運動の仕方を相談した上で実施すると良いだろう。

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