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医療と健康

2020年12月14日

リスクが高い高齢者の肺炎~肺炎死亡の97%が65歳以上

今年は新型コロナの感染拡大を防ぐために、外出時のマスクの着用、できる限り人混み(3密)を避ける、手洗い、消毒の励行など、誰もが心掛けていることだろう。しかし今の時期、高齢者が気を付けなければならない病気はそれだけではない。新型コロナも、インフルエンザも、感染した際に最も恐ろしいのは肺炎の発症である。今月は寒さが厳しくなる今の時期に気を付けたい高齢者の肺炎についてまとめ、その予防法についてもお伝えしよう。

感染し肺胞が炎症
重症化で呼吸困難に

日本人の死亡原因は、1位の悪性新生物(がん)、2位の心疾患(心臓病)に続き、第3位が肺炎となっているが、その肺炎で死亡する人のうち、じつに97%を65歳以上の高齢者が占めているのだ。

肺炎と一般的な風邪との違いは、軽症の時には症状の区別がつかないこともある。しかし両者が大きく異なるのはウイルスや細菌が感染・発症する場所である。一般的な風邪は喉や気道に感染するものだが、肺炎は肺に感染し、肺の中にある肺胞という器官に炎症を起こすものである。

肺胞は呼吸をした際、体にとって必要な酸素を取り入れ、同時に体にとって不要となる二酸化炭素を排出する。そこに炎症が発生してしまうとその機能が働きにくくなり、息苦しさを感じ、呼吸が荒くなったり、病状が進行すると呼吸困難、血中酸素濃度の低下などが起きて入院治療が必要となる。さらに重症化した場合には死に至る危険な病気なのだ。

高齢者は症状がでにくい

また、高齢者の場合に注意が必要なのは、肺炎にかかっても症状が出にくい場合があることだ。たとえば、若く健康な人の場合、感染すると発熱したり咳が出たりする。これは体の中の免疫機能が、体内に侵入したウイルスや細菌を撃退・排除しようとする防御反応としての症状である。しかし高齢者の場合には、体力が低下していたり、免疫機能が低下していたりするため、熱や咳が出にくいことがある。そのため重症化するまで発見が遅れたりする危険があるのだ。
なんとなくだるい、体が重い、体のあちこちが痛むなどの症状がある場合には、早めにかかりつけの医師に相談することが大切だ。

高齢者がかかりやすい肺炎の原因は多くある。そのなかで代表的なものをいくつか紹介しよう。

肺炎球菌による肺炎

日本人がかかる肺炎の原因として最も多いのがこの肺炎球菌の感染によるものである。肺炎球菌はもともと小さな子供が保菌しており、咳やくしゃみなどで周囲へと飛び散り、抵抗力の弱っている高齢者が感染して発症することが多い。
この肺炎球菌は薬(抗生物質)が効きにくい耐性菌の種も多く存在しており、万一感染すると重症化の危険性も高い病気であるため、予防が何より大切になる。
予防には「肺炎球菌ワクチン」を接種することだ。
65歳以上の高齢者、そして心筋梗塞などの心臓病や呼吸器、糖尿病、腎臓などの病気を持っている人の場合は、重症化リスクが高いためにワクチン接種することが強く推奨されている。
また、一度接種すれば一生安心という訳ではない。接種の間隔はワクチンの種類によっても異なり、中には必ず5年以上の間隔をあける必要がある種類もある。いつ、何のワクチンを接種した経歴があるかを調べ、(わからない場合も)かかりつけ医に相談すると良い。

インフルエンザによる肺炎

インフルエンザは、かかると高熱を発し、高齢者の場合には肺炎を発症することもある。インフルエンザに感染すると気道の表面組織が壊され、肺炎球菌などの細菌が二次感染しやすくなってしまうためだ。
インフルエンザを予防するためには、やはりワクチン接種が重要だ。季節性インフルエンザワクチンの接種は、毎年秋から冬にかけての季節に行われている。インフルエンザの「型」は毎年異なるため、その型に合ったワクチンを毎年摂取する必要がある。忘れずに接種するようにしたい。(老友新聞社)

高谷 典秀 医師
  • 医療法人社団同友会 理事長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック健診協会 理事

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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