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2022年09月26日

「能を習う」その魅力とは?宝生流第二十代・宝生和英さんに聞く

今、能を習う人が増えている。しかも、下は3歳ほどから上は80代、90代の人まで、幅広い年齢層の人たちが学んでいるという。実は、能楽は健康に非常によいと言われている。なぜ健康によいのか、能が生まれた歴史や背景から紐解くと能楽の奥深さが見えてくる。日本を代表する能の流派のひとつ、宝生流の第二十代宗家・宝生和英さんに能に関する話をうかがった。ややもすると敷居が高く感じてしまう、能という伝統芸能について楽しい話や意外なことを知ることができるはずだ。

幅広い年齢層の人たちが学ぶ
起源は奈良時代

能は伝統芸能として、自分を観客として捉える方が多いだろう。だが、今、多くの人が能を習っているという。
何が魅力なのか、また健康にもよいといわれている所以を、宝生流第二十代宗家・宝生和英さんにうかがった。

宝生流宗家・宝生和英さん

摺り足走法が動きの基本
腹式呼吸で発声、健康増進に効果

――まず、能が健康に良いということを聞きましたが、どんなところが健康につながっているのでしょうか。

宝生さん「能の種はおよそ1000年以上前、奈良時代に生まれました。当時の日本は土を踏みしめるということを大切にしていて、土を(足で)掴む感覚で歩く摺り足という独特な走法が生まれました。当時は足場が悪いところで何かをすることが前提だったということもありますね。

それに、中国の最先端だった大きな筋肉を使うことを大事とする走行法を取り入れ、怪我をしにくく、安全に体を整えるような効果のある走行が能の動きの基となりました。

もう一つは発声です。普段の私たちの呼吸法ではなく、鼻から息を吸ったときにお腹が膨らみ、吐いたときにお腹がしぼむ腹式呼吸をします。この腹式呼吸で横隔膜を膨らませて肺の負担を減らし、より大きなインナーマッスルを動かし血行を良くするといわれています」

――実際に現役の能楽師の方々の平均年齢は高いと聞きますが、能の呼吸や動き自体が健康を促進しているようですね。

宝生さん「本当に会う方会う方、全員元気にされているんですよ。アマチュアの方でも、98歳で舞台をされた方もいますね。

能は、歳を重ねれば重ねるほどできることが増えていくといわれています。
例えば、能を習い始めたばかりのころ、肉体的にキツイと言うのは若い方たちに多いんです。能は、元々が脱力して最小限の力で立つことを良しとしています。高齢の方のほうが余計な力が上手に抜けているからではないかと思いますね」

椅子に座っての稽古もできる

心穏やかにポジティブになれる

――実際に習い始めると、みなさんどんなところに能の魅力や楽しさを見つけるのでしょうか?

宝生さん「正直、能は目に見えて上達するものではありません。1年過ぎ『上達したな』、2年過ぎ『上手くなったかな』、3年過ぎて『上手にできて、違うレベルになっていた!』という感じです(笑)。

でも、浴衣会や新年会など年に何回かある発表会でお友だちに披露するのが嬉しかったり、先生や先輩弟子との謡(うたい)が楽しかったりするようです。中にはお孫さんと習う方もいらっしゃいます」

――ところで、能の舞台を見てリラックスしすぎて眠くなってしまうという人がいると聞くのですが、これは本当でしょうか?

宝生さん「それが能の目的ですから(笑)。能が大成した室町時代、その後の戦国時代と世の中は戦があり、天災が多かった時代。人々は平穏になることを望んでいました。この時代に生まれた芸能は、全て鎮静化を目指して生まれたものです。

戦国武将・細川幽斎は謡の良さを提唱する『謡曲十五徳』という書を残していますが、その中でも鬱気に触れていて、要はポジティブになれると語っています。

私の祖父もそうだったのですが、世界大戦へは能楽師が従軍し、後方で兵士たちに能の稽古をつけるということもあったそうです。
不安な世界で心を穏やかにするもの、能楽の目的がそれなのです」

宝生さんがシテ(主役)を務められた能「国栖白頭」

能楽は習ってこそ真の楽しさがわかる

宝生さんは言う、「能楽は習って真の楽しさがわかる」と。
宝生会では現在生徒募集中だ。詳細について興味のある方はぜひお問い合わせを。

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〈授業料〉謡曲、仕舞各6千円(1か月/税込)

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