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2021年10月13日

懐かしい折り紙の魅力

ほぼ全ての日本人が「作ったり」「触れたり」したことのある遊びは、そう多くはない。日本人なら誰でも折ったことがあるであろう折り紙は、そんな遊びのひとつだ。折り紙の魅力は様々ある。脳の活性化に役立つとして、高齢者施設ではレクリエーションに取り入れられている。歴史をたどれば由来の奥深さに驚かされる。そして、実際に折ると完成させたときの達成感が。今号は日本折紙協会発行の『月刊おりがみ』編集長・青木伸雄さんに、改めて折り紙の魅力を聞いた。おうち時間のアイディアとして参考にしてもらいたい。

指先動かし脳を活性化
認知症の予防につながる

記者自身の経験からいうと、折り紙の魅力は作成時に「無」になれることだ。気にかかることがあっても、折り紙を折っている間しばし忘れることができる。高度なものを折っているときはさらに集中力が高まるのではないだろうか。

さて、個人の感想より、専門家に話を聞こう。
「折り紙は幼少時に誰もが折ったことがあり、「懐かしさ」という感情とともに高齢者に受け入れられやすいのです。また、指先を使うため外からの刺激が脳内に直に伝わり、認知症予防につながるといわれています」

『月刊おりがみ』編集長・青木伸雄さんは、そう語る。

「指先の動きは思考力を促し、思考力が指先の動きを器用にする」、また「体の各部位が脳の筋肉運動中枢にどの程度関連しているかを見ると、指と手が脳全体の約3分の1をしめている」といわれているという。脳の活性化に役立つとして、高齢者施設等でレクリエーションに取り入れられているのはこういった理由からだ。

ところで、そのレクリエーションの場で、折り紙をしたがらない男性が少なからずいるという。

「『折り紙は女、子どものやるもの』という認識の男性もいらっしゃいます。玩具のような色使いの色紙や、抽象的な見立ての形状など、折り紙の特徴はしばしば稚拙なものと誤解されがちのようです」

脳の活性化にもつながる折り紙なのにもったいないことだ。だが、青木さんはこんな話をする。

「折り紙はもともと和紙の造形(*1)から発展した大人の趣味でした。歴史的なこと、幾何的(*2)なことなど、折り紙の分野は多岐にわたります。幼児に「あてがう」のとは違った姿勢で取り組むと新しい発見があるのではないでしょうか」

最後に、久しぶりに折り紙を折ろうと思った方にお勧めを聞いた。

「最初は工程が少ない、やさしい作品がよいと思います。子ども向けとの差別化としては、箱など実用的なものもいいですね。また、折り鶴や奴さん、宝船など、古典(伝承)と呼ばれる形を見直すのもいいかもしれません」孫と一緒に折るなら、遊べる「ぴょんぴょんガエル」などもお勧めだという。

左上から時計回りに「ぴょんぴょんガエル」、古典の連鶴「呉竹」、江戸時代からあった形の「宝船」(いずれも伝承折り紙)、「折居(おりすえ)」(実用折り紙)

「上級者向けの折り紙の多くは工程数が多いだけですから、丁寧に折っていけば完成します。見本を見て慌てずゆっくり、その都度確かめながらひと折りひと折りをおろそかにしないことが大切です」

日本折紙協会が配信している折り方の動画『日本折紙協会チャンネル』(YouTube)もぜひ参考に。

 

日本折紙協会発行『月刊おりがみ』は、毎号季節を題材にした折り紙とその折り方を紹介

 

*1)和紙の造形:神事における紙垂(しで)や御幣(ごへい)、熨斗(のし)などの儀礼折りが折り紙のルーツとされています。
*2)幾何的:辺や角の等分、多角形や多面体など、折り紙には数理が潜んでいて、それを楽しむこと。

取材協力:株式会社日本折紙協会 https://www.origami-noa.jp/

 

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