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2017年03月21日

「改正道路交通法」施行~高齢者運転事故増加の問題は法改正だけでなく家族・社会の支え必要

「改正道路交通法」が、3月12日施行され、75歳以上の高齢者ドライバーへの認知症検査が強化される。

アクセルとブレーキを踏み間違え、通学児童を死亡させるなど、高齢者の運転事故が相次いでいることはニュース報道でご承知の通りである。
警察庁によると、平成27年の年齢別死亡事故件数の比較(免許保有者10万人あたり)で、75歳未満では4.0件だが、75歳以上では9.6件と2倍以上になっている。

さらに、死亡事故を起こした高齢運転者のうち、事故前に認知症検査を受けていた人の5割近くが「認知症の恐れあり」「認知機能低下の恐れあり」と判定されていたという。こうしたことから、「認知機能低下が交通事故に相当程度の影響を及ぼしていると考えられる」といわれる。

今回の改正道路交通法では、75歳以上の運転者が免許更新時に行う認知機能検査で「認知症の恐れあり(第1分類)」と判定されると、違反の有無にかかわらず、新設された「臨時適性検査(医師の診察)」が義務づけられる。その結果、認知症であることが判明すると、免許の取り消し・停止の対象となる。
また免許更新時以外でも、75歳以上の運転者が違反行為(信号無視など認知機能低下時に起こしやすい違反)を起すと、臨時認知機能検査を受けなければならない。そして更新時と同様に、医師から認知症と診断されると免許取り消しなどが行われる。
このほか、認知機能検査で「認知症の恐れあり」「認知機能低下の恐れあり」と判定された人を対象に行われる「高齢者講習」では、今回から実車指導の際に運転の様子をドライブレコードで記録し個人指導を行うなど内容の充実が図られている。これは、一定の違反を起こした時に行われる臨時認知機能検査で前回検査より悪化している場合も、同様の講習が行われる。

高齢者の運転事故の増加は、法を強化すれば解決するという問題ではない。とくに運転者が認知症の場合は、身近な家族・近親者・友人などの(免許証返納などを含めた)助言・説得、そして多面的な社会インフラの支えが大切である。

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