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コラム

2020年10月14日

ブルーバード・フェアレディ…日産の名車CMモデルに採用された思い出…「億万長者」

日産のカルロス・ゴーン氏が「逮捕されるかも」から実際に逮捕され、容疑者となり、ゴーン容疑者となったものの、まだまだ流動的だし、行方も見えないが、日産で働いていた社員、労働者はどんな思いで日々の動きを見ていることだろう。

あの日産を再興させた人、有能な経済人。何と言っても億・億・億の収入。一年の三分の一は海外。いくつもの別邸。

億万長者。でも私達がおとぎ話で読んだ億万長者とはどこか違う。

汗水流して、努力して、事業を成功させた長者ともいささか違う。

逮捕されるかもしれないというところから、やっぱり逮捕と思った人は多いのではないか。

もともと年か前からすごい給与を取っている人というイメージを持って見ていたから、やっぱりと思った。

一億でもびっくりだけど、十億、百億という巨額は、庶民には想像もつかない金額。もし一億、二億をもらったとしても、その巨額のお金をどのように使ったものか分からない。

この億万長者は世界の高級リゾート地に超高級の別邸をいくつも持ち、一年のうち三分の一は海外を移動しているという。

最初はレバノン人の奥さんで、二回目はアメリカ人。ベルサイユ宮殿で披露パーティーという夢のような話。

一生懸命日産の会社で働いていた従業員は、次々と出てくるケタはずれの収支をどんな思いで見ているか。しかも再興する時、リストラされた二万人の社員たちは煮えくり返る思いだろう。

とはいえ裁判中の事件だし、私はメディアに対する感想しか話せないが、ゴーン氏の贅沢ぶりを、努力して財を成した人と同じように見ようというのではないが、残る問題は

「なぜもっと早く発見できなかったのか」

これだけは一庶民としても不思議に思う。

従業員の労力、努力の上に立った億万長者にあきれたというのもあるが、今回カルロス・ゴーン氏を取り上げたのには他にも理由がある。

 

実は私が女優だった頃、半世紀前…昭和33年頃か、日産のコマーシャルをしていたのだ。

まだコマーシャルなんてはいからな象徴的なものではなく、またその力も今とは違っていて、単なる宣伝写真に出演していたということだ。

日産ブルーバードと、スポーツカーのフェアレディだ。

ブルーバードはセダンの紺色。スポーツカーなんて見たこともないオープンカー。

私は黒のカクテルドレスを着て、これからディナーに行こうという設定だ。場所は晴海埠頭だったと思う。

もう五十年も前の記憶だが、ちゃんと日産の五十年前の車と共に、日産の歴史を記録した。

半世紀前、輸出入の始まった日本は、コマーシャルといえば象徴的に富士山・芸者の時代だった。

しかし日産はファッションの先端をゆく、カクテルドレスで、東京湾を舞台に選んだ。

この先見性のすごさ、大映の女優として多くの仕事をさせて頂いたが、半世紀前、ブルーバードやフェアレディのモデルに選んでいただいたことは嬉しいことだ。

ゴーン氏を通して日産の記憶がよみがえったことは残念なことだ。これからも世界の日産として頑張ってほしい。

(本稿は老友新聞本紙2019年1月号に掲載した当時のものです)

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市田 ひろみ
  • 服飾評論家

重役秘書としてのOLをスタートに女優、美容師などを経て、現在は服飾評論家、エッセイスト、日本和装師会会長を務める。

書家としても活躍。講演会で日本中を駆けめぐるかたわら、世界の民族衣装を求めて膨大なコレクションを持ち、日本各地で展覧会を催す。

テレビCMの〝お茶のおばさん〟としても親しまれACC全日本CMフェスティバル賞を受賞。二〇〇一年厚生労働大臣より着付技術において「卓越技能者表彰」を授章。

二〇〇八年七月、G8洞爺湖サミット配偶者プログラムでは詩書と源氏物語を語り、十二単の着付を披露する。

現在、京都市観光協会副会長を務める。

テレビ朝日「京都迷宮案内」で女将役、NHK「おしゃれ工房」などテレビ出演多数。

著書多数。講演活動で活躍。海外文化交流も一〇六都市におよぶ。

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