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三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

2025年12月25日

第52回「楽屋」

暮れですね。
あっという間に2025年が終わりとなります。
ひえっ!
あっという間すぎてもはや傍観者になりそうです。

今年は七代目円楽師匠の襲名披露や大須演芸場十周年興行があったため、他協会のたくさんの方と交流がありました。
高座だけでは無く、楽屋での立ち居振る舞いなど勉強になることばかり。
ふとした一言が気づきになります。
文枝師匠から言われたのは「芸人が楽屋でネタくったらあかんで」。
大須演芸場でのこと。
最近かけてなかったネタをやろうと思い立ち、楽屋の隅でちょっとだけさらってたのですが、高座へ上がる前に言われました。
ネタくうとはさらうこと。
うちの師匠なんかも楽屋でバカ話をしてゲラゲラ笑ってそのまま高座に上がります。
美学ですね。
そのまますっと上がってウケてくる、という。
そしてなにより、目立たないようにちょっとだけやってただけなのに、パッと気づくその視野の広さ!
楽屋では努めてバカ話をしようと思いました。
稽古は家でします!

我々の世界では他の芸人の高座を前で見るのは基本禁じられています。
では、気になる演芸会があった時にはどうするか。
楽屋を訪ね、舞台袖から勉強させてもらいます。
しかも無料。
なんなら打ち上げまで誘って頂けることも。
演芸の世界、最高過ぎます。
これは去年末になってしまうのですが、東京ボーイズの仲八郎先生主催のイベントがありました。
ゲストが超豪華。
神田伯山兄さん、ナイツ、そして細野晴臣さん!
チラシを目にした時、二度見しました。
細野晴臣?え、あの?細野晴臣?
頭が混乱しましたが、これは行くしかありません。
緊張しながら楽屋口を訪ねますと、仲八郎先生が快く受け入れて下さいました。
有り難い!
そして細野晴臣さんにもご挨拶。
細身でかっこいい!
低音ボイスがたまらない!
そして優しい!
落語家になってよかったことランキングの上位に入ります。
なんなら多分死ぬ間際の走馬灯にも映ります。

高座はもちろん皆さん爆笑、細野晴臣さんは歌うとかではなくナイツのお二人や伯山兄さんたちとのトーク。
とぼけた感じもたまりません。
満足感でいっぱいの終演後、楽屋でお弟子さんに大量のイベントの半券をどうするか尋ねられた時の仲八郎先生の一言に痺れました。
「これが一番大事なんだよ。チケット買って来て下さったお客様の思いが詰まってるんだから。神棚にあげるの」
かっこいい!
お客様への感謝を忘れないその姿勢がこれだけの豪華ゲストを呼べる人間性に繋がるんだなぁ、と感服しました。
私も見習って自分の独演会のチケットの半券は大事にとってあります。
ただだんだん溜まってきてどうすればいいのか分からなくなってきたので、お焚き上げの方法を調べようと思います(笑)

諸先輩方、また後輩からもたくさんの学びを得ることが出来た一年でした。
『べらぼう』出演時に横浜流星さんのストイックさにも触れられましたし。
今年は形になるなにかを成せた訳ではありませんでしたが、心にはたくさんの種をまけたと思います。
まけたはず…
と思いたい…
来年もお客様への感謝を忘れず、楽屋ではバカ話をしつつ、一歩一歩進んで行きたいと思います!
では皆様、よいお年を!

池袋演芸場での筆者

お知らせ

三遊亭ぽん太定例落語会
ぽん太ラボvol.57

料金:予約2000円、29歳以下割1500円、ぽん太初めて割1000円
会場:鈴座Lisacafe(住吉駅徒歩5分)

吟醸~寄席ネタ磨きの会~その三

料金:1500円
会場:ひらい圓藏亭(平井駅徒歩10分)
予約連絡先:pontathe2nd@gmail.com

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三遊亭ぽん太
  • 三遊亭ぽん太
  • 落語家
  • 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて180席以上ある
  • ぽん太さんのHP
    https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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