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2023年05月02日

「昔日の花見遠足」~本紙読者投稿より

(写真はイメージです)

今年も国花の桜の花の季節が到来しました。喜びもありますが、もうろくした自らを持て余す昨今でもあります。

山村に生まれ、小学生の頃は複式学級で、1年上の生徒は授業で先生が教鞭を取られ、下級生は自習でした。これが交代に行なわれる全校生徒百名あまりの小規模校でした。

1クラス20名そこそこで、先生も6人くらいだったようで、セピアに染まった当事の写真もあります。上履きは藁で編んだ草履で、磨耗が早いため父兄がぼろ布を混ぜて作ったものもありました。

暖かくなり1学期が始まると花見の遠足がありました。学校から2キロ離れたところの木橋を渡り、河川敷の中に松林があり、その近辺に桜の花が咲き誇っていました。本数は20本程度で、民家も50戸あまりの集落に、出雲神社で名高い斐伊川沿いにありました。名勝湯村温泉があり、公衆浴場は湯治客で賑わい、散髪屋さんもあって、2件の宿屋も繁盛していたようです。また、その頃では珍しい水力発電所があり、吐き出す水量の渦に圧倒され、見物をしました。

私たち生徒は花より団子で、配られたせんべいをボリボリ噛んで、側溝に笹舟浮かべを興じたり、遡上する川魚の「ウグイ」の跳ねる姿を見て遊んでいました。食事の弁当箱はアルミ製の容器で、日の丸弁当が多かったように思います。

帰校する道中も車に会う事はなく、空の弁当箱を肩から下げ、片言の伴奏で唱歌を歌いながら歩きました。70年前の花見遠足の思い出です。
(島根県 S・M)

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