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コラム

2021年12月07日

「『へっつい』の思い出」~本紙読者投稿より

昔はどこの家庭の台所でも、一基や二基の「へっつい」と、手押しの井戸ポンプが備え付けられていた。
「へっつい」とは言うまでもなく「かまど」のこと。ご飯もみそ汁も、薪を燃やして「へっつい」で作る。薪や炭が生命を支える唯一のエネルギー源であったといえよう。

私と同年輩、あるいは先輩のみなさんの少年時代の記憶には、朝、目を覚ましたとき、家の中に薪の燃える、かすかな煙の匂いを懐かしく覚えておられる方も少なくないだろう。決してそれほど古い話ではない5~60年足らずの昔のことだ。
井戸にしても、当時の手押しポンプなど、どこかの民族資料館などでしかお目にかかれなくなった。今の時代しか知らない人たちは、「火をおこす」とか「水をくむ」といった主婦の労働はとても考えられないことに思えるだろう。

少年時代、朝、目覚めると、薪の燃えるパチパチという音とかすかな匂いを感じ、たすき掛けをした母が「へっつい」の前にしゃがみ込んでご飯を炊いていた。ご飯にお焦げが出来ると、塩むすびにして私に食べさせてくれた。そのおいしさは今でも忘れない。

井戸ポンプの音、薪の煙の匂いなど、あの不便な時代には何か生活の「肌触り」のようなものが色濃くあったと思う。(静岡県 M・S)

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