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かがやく人

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2022年05月17日

「私達は高座で元気な姿を見せないといけません。」落語家 柳家小満んさん「私の健康法」

―今回は、落語家・柳家小満ん師匠にご登場いただきました。1973年にNHK新人演芸コンクール最優秀賞を受賞され、その後も「宮戸川」「居残り」などを主な持ちネタとしてご活躍中。いつまでもお元気な師匠に、高座にのぼられる際の心構えや健康法についてお話を伺いました。

 

普段の生活でも正座です
背筋がピーンとしますよ

辿れば子供時代。その頃はラジオで毎日のように落語が流れていました。親もそれを聞いてるし、子供同士の会話でも「昨日の落語聞いたか?」なんて話をしていましたよ。その頃からね、落語って楽しいなって思っていました。

当時、横浜の外れに住んでおりましたので寄席なんてありません。ですから父ちゃんに「寄席っていうのに連れてってよ」とお願いしたんです。

寄席へ行くと、どこかの師匠がお酒を飲むシーンをやってたんです。本当に盃を持ってるのか?って覗き込むようにして見てましたよ。それが小学校の頃ですね。

不思議なもんでね、高座の空気っていうのは毎日違うんです。一体誰が空気を変えちゃうんだか。楽屋で聞いているとね、今日のお客さんは陽気だとか、今日のお客さんは反応が無くて「壁」だなんていうこともありますよ。

高座で座るのはいいのですが、最近は筋肉が落ちてきて、立ち上がる時には手の力を使わないと立てないんです。多少でも、なにかやらなきゃいけないなと思って、毎朝スクワットをするようにしています。

正座をする仕事ですから、仲間はみんな膝を痛めてるんです。でも私は高座だけではなく、普段の生活の中でも正座をしているので平気なんです。逆に胡坐は嫌なんです。

以前お師匠達はみんな楽屋でも正座だったんです。胡坐なんて一人もいなかった。でもいつの頃からか、みんな胡坐になっちゃった。私はね、いつもどこかで師匠が見ている気がするんですよ。だから正座をしていないと面目ないなと思って。

胡坐をかくと背筋が丸くなります。そんな状態で、たとえば食事をしたってうまくない。正座をすると背筋がピーンと延びます。その方が気持ちがいい。努力してるわけじゃなくて、気分がいいんです。

嫌なことを忘れてもらう
それが私の役割なんです

コロナで落語界も変わりましたよ。世間が変わったのだから、世間があっての我々、それに合わせていかないと。高座を開けなかった時期もありましたが、それも受け入れるしかないですよね。

例えば、高座にアクリル板を置いてくれたことがあるんですよ。すると、そのアクリル板に自分の姿が映ったりして。マスクをかけてるからお客さんの表情は分からないし、なるべく声も出さないようにしなければならないので、客席も静かだし。最初はやりにくいなって思いました。

でもある日、考えを変えたんです。有難いと思ってね。こんなことをしてまで喋らせてくれる。こんな思いをしている中でもお客さんが来てくれる。なんて有難いことなんだと。コロナ禍でも「笑いたい」と思ってくれる人がいる。寄席へ来てもらって、バカげたことを聞いてもらって、ほんの一時でも嫌なことを忘れてもらう。それが私の役割です。
大きな笑いを取ろうとは思っていないんです。くすぐりっていうのかな、時々くすっと笑わせるだけなんです。

落語の中にはね、もちろん笑いが主ですけれど、言葉の魅力っていうのがいっぱいあるんですよ。今、マスコミもそうですが、新しい言葉がどんどん出てきますので、逆に古い良い言葉が消えてしまっているんです。放送しちゃいけない言葉なんかもたくさんありますが、落語はあまり気にせずに、言葉の魅力を引き出してあげるんです

平和だった江戸時代の良さを
表現できるのが落語

未来を見ると不安になるから、ちょっと過去を見てみましょうよ。落語でよく扱う江戸時代っていうのは、今見ると平和だなって思えますよ。約300年もの間、人口が変わらず、自給自足でやっていたんだから。無駄なことなんて一つもない。皆、その中で知恵を出している。大したもんですよ。

明治以来、日本では西洋かぶれがいまだに続いていて、なんでも外国の物がいいって思いますよね。でも外国の方は日本の物に魅力を感じている。それも江戸時代があったからです。もちろん良く無い事もあったかと思いますが、あの平和な時代があったからこそ、すべてひっくるめて、江戸時代っていうのは素敵ですし、日本の良さを表現できるのが落語なのかな、と思いますよ。

美味しいものを美味しく食べるのが健康法です

私達は高座で元気な姿を見せないといけません。病気になったり、元気がなくなると声も出せなくなってしまいますし。そのため結構前から、一年に一回人間ドックに入るようにしてるんです。4~5人のグループでね。毎年受けて、何でもなくクリアすると一年間は安心できるんです。

一度、喉にポリープができたことがありました。声がかすれたり高音が出なくなったりしたので、耳鼻科へ行って「これ、とってもらえませんか」と言うとね、小さなポリープだったらしく「喋らなければ治るよ」っていうんですよ。そんなことを言われたもんですから、じゃぁ、うんと喋ってポリープ育てちゃえ、それで大きくして取ってもらおうなんて。

世間の人達に比べれば、私達はきっと不健康ですよ。毎日不規則でしょ。勝手な事してるでしょ。でも、それはそれでいいんじゃないかって思うんです。勝手なことをしていられるから、ストレスなんていうものはありません。あっても、すぐに忘れちゃう。ストレスって言葉が悪いですよね。嫌でも意識しちゃうから。ストレスは意識すると酷くなりますから、感じない、意識しない、忘れる。それに加えて、美味しいものを美味しく食べられるってこと。これが健康法じゃないですかね。(談)

 


■柳家小満ん(やなぎやこまん)さん
1942年生まれ。神奈川県横浜市出身。
1961年5月に八代目桂文楽に入門。師匠文楽の死去に伴い五代目柳家小さん一門に移籍し、1975年に真打に昇進。
自身の落語をワープロで入力した書籍『てきすと』を自費出版し通信販売を行っている。
一般社団法人落語協会所属。

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