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2020年05月11日

女性に多いトイレの後の残尿感や痛み…「老化現象」と放置しないで

何度もトイレを入ったり出たり。痛みもあります

64歳の女性です。尿をする際の違和感と痛みについて教えてください。 少し前から感じていたのですが、尿をした後、まだ出そうな感覚が残ります。トイレから出ても、もう一度したくて、何度もトイレに入ったり出たりをするのです。 また、尿を出す際に、下腹に痛みが走ることもあります。熱いものが出て行くような、ヒリヒリとした痛みです。  最初は気のせいと思っていたのですが、痛みはしばらく続くので、気になってお手紙しました。 とくに熱もないので、ただの老化現象で、放っておいても良いのでしょうか。

答え

細菌感染による膀胱炎か。
早期の診断・治療が重要

今回は、排尿後にまだ尿が出そうな感じがしたり、排尿の際に痛みがあるという女性の方からのご相談です。

排尿後でも、まだ尿が出そうな感じがすることを「残尿感」と言います。この残尿感があって、さらに排尿時に痛みもあるという事ですと、一番多いのは膀胱炎かと思われます。 膀胱炎は女性に多い病気で、今回のご相談者のように残尿感や排尿痛、そして頻尿といった症状が現れます。さらに尿が白く濁るという事もありますので、これらの症状が、膀胱炎であるかどうかをチェックする重要なポイントになります。

膀胱炎という病気は、大腸菌などの細菌が尿道から膀胱へと入り込み、それらの細菌が悪さをするのですが、細菌感染といっても、膀胱炎の場合は熱が出ないケースが多いため、熱がないからといっても油断はできません。

一番簡単な診断法が、尿の検査をすることです。膀胱炎になると、尿の中に白血球がたくさんあったり、細菌なども混ざっていたり、ときには血尿なども見られます。そのような場合、抗生物質を飲んでいただくと、ほとんどの方は比較的早期に、数日で症状は良くなります。またそれに加えて、水分を多めに採っていただき、尿を沢山出して希釈してあげると、細菌も排出しやすく、治りも早いです。

膀胱炎を起こしやすい方は一度治っても再発すことも多いので、生活習慣の中で、予防に努めることが大切です。よくあるケースとして、たとえば旅行などで長時間飛行機に乗ったり、バスに乗ったりする際、トイレに行きたくならないように、水分摂取を控えてしまう方がいらっしゃると思います。尿を我慢していると、膀胱の中に尿がたまったままになるので、当然細菌も繁殖していきます。さらに水分を飲まないでいると、膀胱の中で尿が濃縮されてしまい、より細菌が繁殖しやすくなってしまいます。そのため、まずはトイレを我慢しないこと。そして水分をしっかりと採ることが大切です。

また、今回のご相談者は女性の方でしたが、男性の方でも、もし同じような症状がある場合は、膀胱炎のほかにも、前立腺肥大症や前立腺炎なども考えられますので、そういった病気のチェックも必要になりますので、参考にしてください。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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