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コラム

2020年02月06日

ウイルス感染予防は江戸時代にも!「講」でご近所同士の助け合い~連載42

江戸の町には「講」というお互いに勉強しながら助け合うという見事な相互扶助システムが確立されていました。

江戸の「講」は原則として「講中」というメンバーが月2回、その日は商売を休んで、明け六つから準備を始めたと言われています。

まずは、四半刻(約30分)ほど、お茶碗を熱湯消毒して、風邪などが移らないように予防をしていました。風邪や伝染病が命取りになる当時は、人の集まる「講」には、咳、クシャミが出る人は、ウィルスをまき散らすので欠席するのが礼儀でした。そのかわりにと言っては変ですが、転失起(おなら)は認められていたそうです。この「講」では、今、身近では何が問題になっているのか、また改善策やその時々で問題になっていることを、お互いに意見を出し合いながら、江戸の町を良くするのにはどうしたら良いのかなど、常に話合われ人々は街のため、江戸のためにいつも知恵をしぼっていたのです。

このような「講」を当時子供達が勉強している寺子屋では、「講とは世の中のこと」そして「世間」と書くと教えていました。「講」には子供も参加出来る時があり、そこで子供達は茶碗の煮沸の仕方、雑巾の絞り方、床の磨き方など、大人の姿を見て世間を学んだといわています。きっと「ああ、こんな立派な大人になりたい」と感じながら講に通ったのではないでしょうか。「大人の姿を見て世間を学ぶ」なんとも重い言葉です。今、私達大人はどうでしょうか?電車の中や公共の場で子供達の手本となる背中を見せることが出来るでしょうか?あまりにもマナー違反の大人が増え、子供達に対して恥ずかしいと思う場面に出くわすことが多毎日です。まず大人から学び直すのが先決かもしれません。

「講中」が最も注意を払っていのは、不始末がもとで襲う人災と、突然襲いかかる予期せぬ災害でした。「地震・雷・火事・親父」最近はあまり聞かなくなってしまいましたが、親父は戸主、筆頭にあたります。地震、雷の時は「火事」が筆頭になりますので、気をつけなさいという意味です。一度火が出ると、街全体に広がる危険があった江戸市中ですから、このために延焼、類焼を防ぐ防炎壁「うだつ」がしつらえられました。いざ火が出た時に、近所に飛び火するのを防ぐ威力を発揮するので、これを設けられない人を「うだつがあがらい」と呼び、一人前の社会人とし扱いませんでした。なかなか厳しかったようです。

そして、突然やってくるのが「地震」です。江戸は60年に1回は「なまずの天地返し」があるとされており、地震にそなえて「なます講」(「ず」と濁らない)という組織も作られていました。イザという時こそ、「それ行けぇ~」とばかりの起動力です。

災害時こそ、隣近所の相互扶助の助け合いが命を繋ぐことになります。こういう大人達の俊敏な行動を見て、子供達は経験学習として体得していったのでしょう。

自然災害の多い昨今です。防災記念日も近くなり丁度良い機会です。世代を超えて「命を守る」という意味で地域の繋がりのあり方を見直す時なのかもしれません。(本稿は老友新聞本紙2014年9月号に掲載した当時のものです)

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酒井 悦子
  • 伝統芸能コーディネーター / 筝曲演奏家

幼少より生田流箏曲を学び、現在は国際的に活躍する箏演奏家。

箏の修行と同時に、美術骨董に興味を持ち、古物商の看板も得る

香道、煎茶道、弓道、礼法などの稽古に精進する一方で、江戸文化の研究に励み、楽しく解りやすくをモットーに江戸の人々の活き活きとした様子と、古き良き日本人の心を伝えている。

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