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2018年01月03日

忘年会や新年会…この時期ちょっと心配な暴飲暴食が原因の肝臓病について

いよいよ2018年のスタート。年末からお正月にかけて、忘年会や新年会など、なにかと外食の機会が多いと思われるが、やはり食べ過ぎ、飲み過ぎに注意をしなければならない。今年1年、元気に過ごしていただくために、飲酒や食べ過ぎに深く関係する肝臓の病気についてまとめてお伝えしよう。

肝臓の役割は「人体の化学工場」

肝臓はへそよりもやや上、上腹部の右側に位置し、成人では1.5kgくらいの重さもある、人の身体の中では最大の臓器である。
肝臓の果たす役割は非常に多く、かつ重要なものばかりで「人体の化学工場」とも呼ばれるほどである。まずは肝臓の持つ主な役割についてご説明しよう。

①エネルギーの生成
人が食べた食物は、胃の中で消化液と混ざり、消化管の中で消化・吸収をされる。しかし、そのままではエネルギーとして利用することができないため、吸収された成分は血液に乗り、一度肝臓に運ばれる。そして肝臓の中で様々な化学変化が行われ、人体がエネルギーとして利用できる形に変換されて、再度血液中に送り込まれ、体の隅々まで行き渡るのだ。

②エネルギーの貯蔵
肝臓はエネルギーを作り出すだけではなく、貯蔵をする役割も担っている。
我々は通常、1日のうちに朝・昼・晩の3回食事をとるが、その食事と食事の間や、眠っている間などもエネルギー切れにならないよう、一時的にエネルギーを肝臓に貯蔵し、それを少しずつ供給するような仕組みとなっているのだ。

③解毒作用
食事の中には、エネルギーとなる成分以外にも、アルコールや薬、細菌など、体に害をなす物質も含まれている。それらの物質を分解して、体に無害な物へと変換する役割も担っている。

④胆汁の生成と分泌
胆汁は、肝臓で処理される老廃物などを十二指腸へと流す役割と、脂肪の消化吸収を助ける消化液としての役割がある。この胆汁を産生・分泌するのも肝臓の仕事である。

我々が日々活動するためのエネルギーを産生したり貯えたり、肝臓がいかに重要な役割を担っているかがわかるだろう。
その肝臓の病気というのは数多くの種類があり、原因も様々であるが、今回は主に食べ過ぎ、飲みすぎが原因で引き起こされる病気を中心に取り上げて説明しよう。

脂肪肝

肝臓にはエネルギーを貯蔵し、少しずつ供給する役割があると話したが、供給する量よりも体に取り入れる量が上回ってしまう場合、肝臓に中性脂肪という形でどんどん蓄積されてしまう。そして肝臓全体の3割以上が脂肪となってしまった状態を脂肪肝と呼ぶのだ。アルコールの飲み過ぎによる「アルコール性脂肪肝」と、それ以外の、肥満や糖尿病などが原因の「非アルコール性脂肪肝」がある。

健康診断などで発見される肝機能障害のうち、最も多いのがこの「脂肪肝」の状態である。この段階ではまだ自覚症状はないが、メタボリックシンドロームや動脈硬化など、様々な病気と関連しているので注意が必要である。

逆にこの段階であれば、生活習慣の見直しをすれば改善されることが多いため、食べ過ぎ、飲み過ぎ、高脂肪な食事のとり過ぎなどに気を付けることだ。そのまま放置すると、脂肪性肝炎に進行する可能性がある。

肝炎

肝臓の細胞の一部が破壊され、炎症が起きている状態を肝炎という。
肝炎となる原因はいくつかある。アルコールが原因のアルコール性肝炎、脂肪肝から進行する非アルコール性脂肪性肝炎、そして肝炎ウイルスの感染が原因のウイルス性肝炎などである。
アルコールは、中性脂肪を分解する酵素の働きを妨げるため、肝臓内の中性脂肪の蓄積を高めてしまう原因となる。この状態をアルコール性脂肪肝というが、そのまま長い期間放置するとやがて肝炎となってしまう。
アルコールを飲まない人でも、脂肪分の高い食事、高カロリーな食事を続けていると、非アルコール性脂肪性肝炎になる恐れがある。やはり中性脂肪が肝臓内に貯まりすぎた状態で脂肪肝となり、その状態が長く続くと肝細胞に炎症が発生し、肝炎となるのだ。
ウイルス性肝炎は、B型肝炎、C型肝炎などの種類があり、輸血や注射針などから感染する。今現在の日本では、新たに感染する心配は殆どないが、過去に感染したウイルスを保有したままでいる人がおり、そのまま放置するとウイルス性肝炎を発症する。

肝硬変

肝炎の状態のままさらに長く放置し、病状が悪化すると肝硬変となる。肝細胞が炎症を起こして壊死し、そして再生をする。これを何度も繰り返していると、やがて肝細胞は線維化を起こし、肝臓全体が硬く、小さくなる。この状態になると肝機能は著しく低下してしまう。

肝がん

日本では肝がんによる死亡者はおよそ3万人、男性ではがんによる死亡原因の第3位となっている。肝がんとなる原因のほとんどはウイルス性肝炎や肝硬変をそのまま放置してしまうケースである。

以上が主な肝臓疾患の例である。初期の段階では症状がほとんど無く、肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれるほどである。日頃から飲み過ぎ、食べ過ぎに注意をし、適度な運動で生活習慣の改善をすること。定期的な血液検査を受けることが肝心である。(老友新聞社)

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