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コラム

2026年08月31日

〈第21回〉日本橋小伝馬街界隈(東京)~蔦屋重三郎 ゆかりの地

江戸随一の出版業界の中心

「生き馬の目を抜く」と言われた江戸で、出版業の先駆け風雲児として業界をリードした蔦屋重三郎が店を構えたのが日本橋「油通町」。今の日本橋大伝馬町の一角です。天明三年(1783年)重三郎33歳の時に書店と版元を兼ね合わせた「耕書堂」を進出させました。

油通町は今の日本橋界隈と同じで人々の往来で賑わい、町名のごとく油屋、小間物問屋、木綿問屋などの商店が多い目抜き通りでしたが、その中でも重三郎が店を出した付近は有名版元が軒を連ねた江戸随一の出版業界の中心地でした。

今も江戸情緒残す老舗並ぶ

この油通町は日本橋を起点とする五街道の「日光・奥州街道」。将軍が日光参詣の時に用いる「御成道」でもあるメインストリート。今は「大伝馬本町通り」という道路愛称で親しまれ、ホテルや会社が立ち並びJR、地下鉄、都バスなど交通の便が良い場所で、この辺りは江戸の情緒を感じさせる老舗がまだまだ残っています。

歩いて数分のすぐ近くには安大楽寺があり、境内には死刑場があったとされ、お寺の壁には平賀源内が獄死した『伝馬町牢屋敷跡』の石碑があり、現在では刑場の一部が東京都中央区立十思公園の一部となり、東京都指定文化財になっています。

現存する牢屋敷石垣

公園内の「十思スクエア」という元小学校だった銭湯のある施設の外壁には当時の石垣が現存し、また、牢屋敷の模型が展示され身分によって区別された屋敷の中の様子を見ることができます。江戸時代の牢屋敷が時代を経て小学校、公園、銭湯と姿を変えながら歴史を刻んでいます。

さらにこの公園にはコンクリート製の鐘楼に、東京都指定文化財の江戸の町に時を知らせた「銅鐘石町時の鐘」が設置されています。処刑が行われる日には鐘を鳴らす時間を長くして、少しでも処刑を遅らせたという逸話が残っています。

時の鐘

隣町の人形町は人形浄瑠璃の芝居小屋や、中村市村座のような官許の芝居小屋があり多くの人が集まり栄え、明暦の大火までは「吉原」があった場所です。今も昔懐かしい食事処や商店もあり昭和レトロを感じる町です。

生きる命を輝かせた重三郎達の出版界が切磋琢磨する場所の目と鼻の先には牢屋敷がある町。生と死が背中合わせの江戸の小伝馬町は、今は姿を変えても江戸の香りを残す商いの町です。

油通町(現在の日本橋大伝馬町)

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