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玉木正之のスポーツ博覧会

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2025年08月21日

長嶋茂雄氏の残した素晴らしい言葉!

6月3日、長嶋茂雄氏、逝去。享年89歳。私は生前の彼に、7度のロング・インタビューをさせて頂いた。その中から、今も心に残る素晴らしい「ミスタープロ野球」の言葉を少しでも紹介したい。

「地獄のキャンプ?いいですねえ。若い連中が天国でお釈迦様の隣に座っていても仕方がない。地獄のほうが楽しいですよ」(79年秋。最初の巨人監督時代。伊東キャンプで)

「我々はプロですから。プロなら観客(ファン)の皆さんに満足していただかなければならないわけで。打撃(バッティング)の調子の悪い時は守備(ディフェンス)で。守備でアッピールできないと盗塁(スチール)や走塁(ラン)で。そういう意識を僕は持っていて、三振でも、どうせ空振りするなら、イイ空振りを観客にお見せしようと、鏡の前で練習したこともありました」(『Number195』88年5月6日より)

「四球(フォアボール)で勝負に勝ったと喜ぶ打者がいたら、間違いだと言いたいですよ。勝負とは宮本武蔵の『五輪書』にもあります。命あるか死ぬかの二つに一つ。打つか打たれるか。切るか切られるか。四球は単に勝負が延びただけです」(『同228』89年9月20日)

「今はちょっと女性と歩くだけでマスコミが騒ぐ。けど勝負師の男はいい女性に育てられる面もあります。水商売系のいい女性のすべすべした肌を抱いて、その快楽の味がカンフル剤としてプレーに生きることはありましたね」(同)

長嶋さんの言葉は感覚的でわからないといわれるが、私は、そうは思わない。野球やスポーツの話をする時、彼ほど素晴らしい言葉を連発した人はいなかった。が、私が立教大の教壇に立った93年。長嶋茂雄を知っている学生は50余人の中でゼロだった。TVの追悼番組も低視聴率。嗚呼。昭和は遠くなりにけり。合掌。

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玉木 正之
  • スポーツライター 音楽評論家 小説家

新聞や雑誌で執筆・評論活動を展開するほか、TV・ラジオ番組に多数出演。主著に『スポーツ解体新書』『不思議の国の野球』『オペラ道場入門』他多数。

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