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2022年12月12日

健康診断で十二指腸潰瘍の疑い。自覚症状ないので放置しても大丈夫?

バリウム検査で「十二指腸潰瘍の疑い」と言われました

61歳の男性です。半年くらい前に、会社の健康診断があり、胃のバリウム検査を受けました。その時、十二指腸潰瘍の疑いがあるので要再検査と言われました。

言われてみると、胃の辺りに少し痛みを感じていましたが、仕事が忙しく、胃潰瘍と同じでストレスからくるものと思い、自然に治るだろうと再検査をせずにそのままにしてしまいました。

今現在、自覚症状などはとくに感じていないのですが、十二指腸潰瘍を放置してしまうと、何か大きな病気に繋がることがあるのでしょうか。

答え

内視鏡検査をおすすめします

今回はバリウム検査で十二指腸潰瘍の疑いがあると診断された方からのご相談です。
胃のバリウム検査は、胃だけではなく、その後に続く十二指腸の観察もすることができます。中でも十二指腸球部と呼ばれる、胃の出口からすぐの場所には潰瘍ができやすい場所として知られております。

バリウム検査は内視鏡検査と違い、直接粘膜の状態を見ることができないので、潰瘍の活動状況は内視鏡よりもわかりにくい場合も多いのですが、潰瘍に伴う様々な影を見ることができます。

十二指腸潰瘍は再発を繰り返すことが多く、潰瘍の跡が残ってしまい、それがバリウム検査で影となって映し出されます。このような場合には潰瘍の瘢痕像を示しているだけですので、通常は再検査の必要はありません。

一方で、潰瘍ができたばかりの活動期の場合には、みぞおちや少し右側が痛むなどの症状が出ることが多いです。今回あなたの場合にも、最初は胃の辺りに痛みがあったという事ですので、その時、ちょうど潰瘍の活動期であった可能性があります。

治療をせず放置して、それが進行した場合には、潰瘍から出血して吐血したり、ショック状態になる危険もあります。さらにひどくなると、潰瘍がどんどん深く進行して、穴が開いてしまい、腹膜炎を起こすこともあります。場合によっては死に至ることもあるのです。

昔は十二指腸潰瘍でも手術をし、患部を切除することもありました。現在は良い薬ができたため、投薬による治療で治るようになりましたので、手術に至ることはほとんどありません。しかし治療をせずに放置してしまうと、最悪、手術ということにもなります。

今回は内視鏡検査ではなくバリウム検査での指摘ですので、古い潰瘍の跡という可能性も十分あります。その場合、あまり心配する必要はないのですが、再検査の指示も出ていることですので、一度は内視鏡検査をしておいた方が良いでしょう。

また、十二指腸潰瘍も胃潰瘍と同様にピロリ菌が関係していることが多いです。ピロリ菌が陽性であれば、除菌をすることによって十二指腸潰瘍の再発を大幅に低下させることができますので、ピロリ菌の有無を同時に調べておくことをおすすめします。

最後に、ご高齢者の場合は、腰痛や膝痛などで痛み止めを常用されている方も少なくないと思いますが、痛み止めの副作用で潰瘍が起きることもあります。その場合は症状も分かりにくいことが多いので注意していただきたいと思います。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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