医療と健康
自殺は防ぐことができる
2022年度の自殺者数が先日発表されましたが、約2万1千人で横ばい状態となっています。
日本の自殺者数の推移を振り返ってみると、1998年に3万人を超えて以来14年間、3万人超で高止まりの状況が続いていました。97年に起きた金融ショックなどの社会背景もあり、98年の自殺者数は実に前年比35%増となりました。これ以降、国を挙げて自殺予防対策が行われることになりました。
06年には自殺対策基本法が施行され、07年には政府の自殺対策指針「自殺総合対策大綱」が閣議決定されています。この大綱に挙げられている自殺に対する三つの認識をご紹介しましょう。
①自殺は追い込まれた末の死である
②自殺は防ぐことができる
③自殺を考えている人はサインを発している
まず、自殺は個人の自由な意思選択で行っているわけではないことを知っておいてください。自殺はさまざまな理由が複雑に絡み合って起きることであり、その多くはうつ病などの精神疾患にかかっている場合がほとんどです。追い込まれた最後の選択ではありますが、そこに至るまでに、相談や支援体制が整えられていたり、適切な治療が行われれば防ぐことができます。家族や同僚などの周囲の人の気づきも大切です。
うつ病になった人は、心の視野狭窄(きょうさく)が起こっています。それが数カ月続けば、さらに視野は狭くなり「もう死ぬしかない」と追い込まれていきます。
客観的な判断ができなくなっている状態ですから、そこに至る前に精神科での治療やそこまでにつなげるサポートが必要になってくるのです。
皆さんもぜひこのことを理解して、周りの大切な人を自殺から救いましょう。
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- 山本 晴義 医師
- 心理カウンセラー
日常よくある心の悩みについて、山本先生が解説します。心を健康に保ち、毎日健やかに過ごしましょう!
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