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2024年11月28日

老いを笑って楽しもう!大正大学生が「巣鴨笑店街カフェ」企画

去る9月13日(金)~16日(月)、大正大学人間学部・社会福祉学科の学生たちが『巣鴨笑店街カフェ』をオープンした。このカフェは、人生百年時代の敬老の日を、「老いを一緒に笑って楽しむ日」にすることを提案するもの。期間中300人の高齢者やその家族、友人連れが訪れる盛況ぶりだった。世代を超えて、ひとつの場所に集うことから生まれる相乗効果はどのようなものだったのか、この企画を担当する社会福祉学科・宮崎牧子教授に話を聞いた。

地域創生の一環
世代を越え交流の場に

東京・豊島区西巣鴨に立地する大正大学は、地域に密着した大学として知られている。内閣府が地域創生を支援していることもあり、大正大学は「おばあちゃんの原宿」巣鴨地蔵通りに、カフェやアンテナショップなどを造った。

「せっかくそういった店舗があるのだから、社会福祉学科の学生たちも一緒に何かしたいね、と話していたんです。そんなとき、高齢者向けタブレットを製作しているTQコネクト(東急不動産ホールディングスグループ)から、実際の商品『TQタブレット』を体験してもらえるような機会を作れないだろうかと相談がありました」

そういうのは、敬老の日に合わせ、『巣鴨笑店街カフェ』を開店した大正大学人間学部・社会福祉学科の宮崎牧子教授だ。
単に体をケアするだけでなく、心のケアも大切だといわれるようになって長い。『巣鴨笑店街カフェ』は心のケアに目を向け、来場者が学生や同世代の高齢者と交流し、一緒に笑って楽しんでもらう場所として開催された。

高齢者と家族・友人、学生
300人が集い盛況

「『巣鴨笑店街カフェ』の開催は今年が2回目になります。今年は我が学科の学生が主体となり、いくつかの案からAIの時代だからと『タイムスリップして笑おう』という企画を採用しました。アプリを利用して今の自分の写真を加工し、20代の頃の自分の顔を写真にするものです。
ご本人たちは『こんな顔じゃない』『面影があるわ』などとそれぞれの反応を示していましたね。写真を持ち帰ってご家族に見せたりお友だちに見せたりして、そこでもまた話題にして楽しむことができたのではないでしょうか」

いっぽう学生たちは、異世代の人とのコミュニケーションの取り方に戸惑ったようだ。

「ひとりで見えた方には比較的話しかけやすかったのですが、ご家族や友人連れの方たちはその方同士でお話が弾んでいて、話かけるきっかけが見つけられなかったという学生が多かったようです。実は、『TQタブレット』は登録した相手としか話せない、テレビ電話ができる、まさに高齢者向けの通信手段なんです。つまり、スマートフォンと違って知らない人からのメールや電話はつながらない、特殊詐欺からも守ってくれる確率が高いのです。でも、その情報を伝えるところまで話をもっていくことはなかなかできなかったようです」

しかし、その中で得ることも多かったと宮崎教授は言う。

「1日目に失敗した学生がどうしたら改善できるか振り返ってみて2日目に試してみたり、うまく話している他の学生を見て真似してみたり…… 進歩ですね。今はPDCAが謳われていますが、まさにそれです。また、このサイクルを普段の授業に絡めて学ぼうとする学生もいました」
※PDCAとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)Action(改善)。目標達成や業務改善を目的とした考え方。

外出して社会と接点
家庭のほかに居場所つくる

今できなくても、この経験は社会に出てからきっと役に立つと、宮崎教授は言う。異世代の人たちと話すことを楽しむ高齢者は少なくない。逆に目上の人と話すことにきっかけがほしい若者もいる。お互いの「したい」がきっとある『巣鴨笑店街カフェ』に、いつか読者のみなさんも訪れてみてはいかがだろうか。

「若者にも言えることですが、『巣鴨笑店街カフェ』でも、身近な町のサロンでも、公民館の教室などでもいいと思います、外出する機会を作ってください。外出して社会にでると出会いがあります。家庭のほかにも居場所を作っていただきたい。そして楽しく元気に過ごしてください」

『巣鴨笑店街カフェ』の開催は今年で2回目。そして来年も、再来年も引き継がれて行くだろう。

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