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2016年10月14日

健康寿命を延ばすには?まず「高血圧」の予防から!

我々の全身に流れる血液。体重のおよそ8%の量が流れており、体重50㎏の人の場合は4リットルの血液が全身を巡っていることになる。この血液や、血液を流すための血管に異常が発生すれば、やがて深刻な病気に繋がることになるのは明白だろう。今回は血液や血管にまつわる病気の中から高血圧について詳しくお伝えしよう。

血液循環と高血圧

我々の体は約37兆個もの細胞が組み合わさり形作られているが、細胞は栄養や酸素が無ければ生きてゆくことができない。血液はこれらの細胞に酸素や栄養素を送り届ける役割を担っているのだ。逆に、細胞が活動をすると老廃物や二酸化炭素が生み出されるが、それらを体の外へ排出するために運び出す役割も担っている。またそれ以外にも、細菌などから体を守るため、白血球やリンパ球などの免疫細胞を運ぶ役割もある。
この血液を体全体に循環させるのが血管と心臓の役割である。血管は体の隅々まで張り巡らされており、それら血管をすべて一直線につなぎ合わせるとおよそ10万㎞、地球2周半もの長さになると言われている。その血管に血液を送り出すポンプの役割を担うのが心臓である。血液は、ただ全身に満たされているだけでは意味がなく、流れていてこそ役割を果たせる。そのため心臓は絶えず収縮を繰り返して、およそ1分で体を1周させるほどの速度で血液を送り出しているのだ。
これら重要な役割を担っている血液と血管であるが、現代人は生活習慣病と呼ばれる様々な病気の危険にさらされている。中年になってから発症することが多いため、かつては「成人病」と呼ばれていたが、年齢を重ねるとかかる病気という誤解を生み、偏食、運動不足など改善可能な生活習慣が原因となっていることを認識させるために「生活習慣病」に改名されたのだ。
いくつかある生活習慣病の中から、今月は一般的に良く知られている「高血圧」について取り上げて解説しよう。

患者数は1千万人超
疾患などにより目標値異なる

生活習慣病の代表格である高血圧。厚生労働省の「平成26年患者調査の概況」によると、国内の高血圧の総患者数は1千万人を超えており、年間医療費は1兆8千億に上り、そのうち65才以上の高齢者の医療費が1兆4千億と、大部分を占めているという。
高血圧の基準は、日本高血圧学会により収縮期血圧(上)が140㎜Hg以上、拡張期血圧(下)が90㎜Hg以上と定義されている。ただし、年齢やその他の疾患を持つ場合、また病院で計測した場合と家庭で計測した場合などで高血圧の定義は異なる。表1に、血圧目標値をまとめておく。

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では、高血圧の予防法についてお伝えしよう。

①減塩
塩分の取りすぎは高血圧の原因となる。日本では、一日の塩分摂取量を6g未満にするのが目標とされている。塩分を多く含む食事には注意が必要である。とくに高齢者の場合は白米に合う質素な食事を好む傾向にあるが、実は塩分が多く含まれる場合がある。漬物、梅干、佃煮、味噌汁などの摂りすぎには注意しよう。またインスタント食品にも多量の塩分が含まれていることが多い。スーパーやコンビニなどで売られている食品には、裏面などに「栄養成分表示」がされているので、購入する際には注意して見ると良い。
Na(ナトリウム)として表示されている場合には、その数値を2・5倍すると食塩相当量に換算できる。たとえば「Na2g」と表示されている場合には、2g×2・5=5gの食塩量となる。

②野菜・果物の摂取
野菜や果物に含まれている「カリウム」により、ナトリウムの排泄が促される。しかし、果物を取りすぎると糖分の過剰摂取に繋がるため、みかんなら2個、バナナなら1本程度にする。

③コレステロール・飽和脂肪酸に注意
飽和脂肪酸を多く含む食品やコレステロールを多く含む食品は血圧の上昇や動脈硬化を招く。飽和脂肪酸は牛肉や豚肉の脂身、バターなど、コレステロールは卵、肉や魚の内臓などに多く含まれている。肉ならば魚の肉を中心にして摂ると良い。

④アルコールに注意
アルコールの1日の摂取量は、ビールなら500ml、焼酎なら110ml、日本酒なら1合、ワインなら220mlを目安にしたい。それ以外に、週に1~2日は休肝日を設定すること。

⑤禁煙
たばこを吸うと血圧は上昇し、さらに動脈硬化を早める作用がある。高血圧予防には禁煙が重要だ。

有酸素運動を1日30分
体重BMI値22が適切

⑥運動習慣をつける
無理な運動は良くない。息がはずむ程度の軽い運動(有酸素運動)を1日30分を目安に行いたい。1回10分の運動を3回に分けて行っても良い。

⑦適切な体重コントロール
体重はBMI値22が適切である。体重(㎏)を身長(m)で2回割ったものがBMI値で、たとえば身長160㎝で体重60㎏の人は、60÷1.6÷1.6=23.4となる。自分の身長、体重からBMI値を計算してみると良い。

⑧ストレス・睡眠不足に注意
ストレスや睡眠不足でも血圧は上昇してしまうので、自分なりのストレス解消法や安眠法を見つけると良い。

以上のようなポイントに注意して、血圧を適切にコントロールすることが健康寿命を長くするコツである。
1日1gの減塩で血圧は1㎜Hg低下すると言われる。もし、日本国民の平均血圧を4㎜Hg下げることができれば、脳卒中による死亡者数を1万人、心筋梗塞による死亡者数を5千人減らせるとも言われているほどだ。もちろん、高すぎる血圧ならば薬による治療も必要となるため、主治医に相談をしていただくことが重要だ。(老友新聞社)

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