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医療と健康

2021年04月27日

昼間でも強烈な眠気、会議中でも眠ってしまう…「睡眠時無呼吸症候群」では?

夜、眠っている間に呼吸が止まり、睡眠不足で昼間眠気に襲われてしまう睡眠時無呼吸症候群。この病気については本紙でも過去に紹介をしているのでご存知の人も多いかもしれない。この睡眠時無呼吸による影響は、実は昼間の眠気だけではなく、重症になると生命にも関わるほど重大なものであり、なおかつ日本人はこの病気にかかりやすいという。自分、あるいは家族の誰かが、もしかして……と、心当たりのある人も多いかと思うので、今回は改めて睡眠時無呼吸症候群についてお伝えしよう。

まず、睡眠時無呼吸とはどのような人を指すのかというと、10秒以上続く無呼吸が、一晩のうちに30回以上、あるいは1時間当たり5回以上起きることと定義されている。ただ、これはあくまでも定義であり、平均では1回に20秒~30秒ほど無呼吸になり、一番長い時では1分から2分くらい呼吸が止まることもあるという。

日本国内には、2百万人ほどの患者がいるといわれており、これは気管支喘息の患者と同じくらいの多さである。それだけ身近に存在している病気ではあるが、睡眠時無呼吸というのは自分自身でなかなか気がつきにくく、実際に患者として診療を受けている人はそのうちの十分の一程度だという。

睡眠時無呼吸になる仕組み

人は眠りにつくと、筋肉が弛緩する。すると、舌根沈下と言い、下の付け根が喉の方へ落ちてしまうのだ。そのため、喉の空間がだんだんと狭まっていき、空気が通りも悪くなり、いびきをかくようになる。そして完全に喉が塞がってしまい、無呼吸になるわけだ。

無呼吸になると、血中の酸素濃度が下がるが、そうすると、心臓は少ない酸素をなんとか全身に運ぼうとして、激しく心拍数を上げてしまう。そして、いよいよ限界が来ると、人は死んでしまうので、そうならないよう脳が防御反応として一瞬目を覚まし、筋肉に力を入れて喉を広げるのだ。しかしそれで終わりではなく、ほんの数秒後にはまた眠ってしまい、筋肉が弛緩して、同じ事を繰り返してしまう。重症の無呼吸患者では、一晩のうちにこれを3百回、4百回と繰り返す。

交通事故やうつ病発生の原因にも

このように、睡眠時無呼吸の患者は、自覚の無いうちに夜中に何度も目覚めているために、眠りは浅く、常に睡眠不足の状態となる。集中力や記憶力は低下し、交通事故を起こしやすくなったり、精神が不安定になってうつ病を発症することもあるという。
それだけではない。無呼吸の人は寝ている間にも血圧がどんどん上昇していき、不整脈も出やすくなり、動脈硬化も進行する。そうすると狭心症や、脳卒中などのリスクが、十年間で三倍くらいに高くなるそうだ。
無呼吸の人は、自分で気がつきにくいために、5年や10年といった長い期間、治療をせずに放置してしまうケースが多いため、まさに命にかかわる病気である。朝、目覚めずに、布団の中で亡くなっているという突然死の原因とも言われているそうだ。

睡眠時無呼吸の原因

人は誰でも必ず睡眠をとるが、無呼吸になる人とならない人がいる。では、なぜ無呼吸が起きるのか。一般的には、原因は肥満と言われている。肥満が進むと、喉のまわりにも、舌にも脂肪が付き始める。そのため喉の空間はどんどん狭くなっていき、無呼吸を起こしやすい状態になる。
だが、肥満だけが原因ではない。扁桃腺の大きい人、あごが小さい人なども無呼吸が出やすいので、痩せているから無呼吸にはならないという訳ではない。
また、高齢者も、筋肉の衰えによって、喉の周りや舌を支える筋力も衰えるために、無呼吸になりやすいそうだ。ほかにも、アルコールには筋弛緩作用があるため、眠る前にお酒を飲む人は注意しなければならない。

睡眠時無呼吸の検査と治療

睡眠時無呼吸は、先にも書いたように、自分では気がつきにくい。常に寝不足を感じている人や、いびきがうるさいと指摘をされる人は、自宅で行なえる簡易検査を受けられてみてはどうか。
パルスオキシメーターと呼ばれる検査機器を借りて自宅に持ち帰り、腕時計のように手首に装着して、検出器を指先にはめた状態で、いつものように眠るだけだ。パルスオキシメーターは、眠っている間の血中酸素飽和度を一晩中測定し、記録を残してくれる。測定後、その記録を医師に分析をしてもらうのだ。
また、入院をして検査を行なう終夜睡眠ポリグラフ検査というものもある。この検査では、パルスオキシメーターでは測定できない、睡眠時の脳波や体の向きなども測定できる。睡眠時無呼吸というのは、横向きの体位で寝ていると起こりにくいもので、簡易検査時に、たまたま寝返りをうって、横向きで寝てしまった場合、「睡眠時無呼吸ではない」という診断がされてしまう可能性もあるためで、より正確な診断をする際に行なわれる。

治療の方法についてもお伝えしよう。肥満が原因となっている人の場合には、まず減量をすること。アルコールを飲む人は控えること。比較的軽度な人の場合には、これだけで症状が改善するそうだ。

それでも改善しない人や、重度の人の場合はCPAP(シーパップ)療法を行なう。CPAP療法は、鼻にマスクを装着して、寝ている間、鼻から気道へ空気を送り続ける。送り込む空気の圧力によって気道を開き、無呼吸を防ぐというものだ。その効果はかなり絶大だそうで、睡眠の質の向上、高血圧、狭心症、心筋梗塞など循環器系の病気の予防になる。
ただし、CPAP療法は根本的な治療ではないため、基本的には毎日、一生の付き合いとなる。旅行へ行く際にも、空気を送り込む装置を持参するなり、宿泊先へ送るなりしなければならないので、あまり手軽ではないようだ。

CPAP療法よりも手軽な方法として、マウスピース療法というものもある。これは、歯に専用の器具をはめ込んで、下あごを少し前に出した状態で固定をするもの。下あごを前へずらすことで、喉を広げる効果が得られる。小さい装置なので、旅行などの際に、楽に携帯することが出来て手軽ではあるが、CPAPほどの効果は期待できず、比較的症状の軽い人向けだという。また、歯に器具を固定する必要があるために、歯が少ない人、歯がぐらつく人などには向かない。

睡眠時無呼吸症候群は、決して昼間眠くなるだけの病気ではなく、生命にも関わる病気であるということをお伝えした。心当たりのある人は、まずは一度、簡易検査を行ってみてはいかがだろうか。

髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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