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コラム

2026年07月16日

天下泰平パワー食材 ~必須要素は「健康」~

約265年続いた江戸時代の将軍は15人。それぞれの任期の差はありますが、世の中を治める重責はどれ程だったでしょう。幕府の存続と天下泰平の必須要素は心身ともに「健康」以外にはありせん。今回はそのパワーの源となった食材を、5人の将軍の食事からご紹介します。

上手な食べ方を研究して、天下を統一し江戸幕府の土台を築いたのがご存知徳川家康。家康には「天下とり食」なるものがあったと言われています。
「長命これ勝ち残り、天下を手中にするための源」といって食生活による健康管理、自ら漢方を調合したり、水泳、鷹狩りなど日々の生活から特別な注意をはらっていました。早寝早起き、粗食を日課として、平均寿命が40歳位の時代に75歳まで長生きをしています。パワーフードはいたって粗食。「麦飯」と具だくさんの味噌汁、漬物、鰯の丸干しなどです。
麦飯にはビタミンB1、カルシウム、カリウム、三河の豆味噌にはレシチンやアミノ酸、鰯にはドコサヘキサエン酸が豊富ですから、頭脳力、記憶力、集中力、作戦能力を高め天下泰平を成し遂げたのでしょう。

家康の孫である三代将軍家光は、少年時代はひ弱で食も細く、乳母の春日局を困らせていました。「お命をつなぐものの第一は飯なり」という局が考案した菜飯、小豆飯、麦飯、栗飯、湯取り飯、引き割り飯、干し飯の「七色飯」を日々順番に食べることで健康を取り戻しています。「七彩飯」をきっかけに将軍へと成長していったのです。

江戸の人達が白米飯を食べるようになったのは元禄の頃。このためにビタミンB1欠乏から「江戸煩い」という脚気が急増します。
この病にかかったのが「生類憐みの令」を出して犬公方と呼ばれた五代将軍の綱吉です。脚気の養生のために練馬に転地し、退屈しのぎに尾張から取り寄せた大根の種を畑にまいて、見事に大根が収穫でき(これが練馬大根)その他の野菜をバランスよく食べたことにより、見事に脚気が治ったといわれています。

時代劇でお馴染みの八代将軍吉宗は身の丈六尺、今の180㎝程。当時としてはかなりの大男です。幕府の経済再建などに手腕を発揮した将軍のパワーの源の朝食は、焼きおにぎりと好みのおかずは焼き味噌。夕飯も一汁三菜という家康なみの質素なものでした。

江戸幕府最後の将軍慶喜。この頃になると食事の内容も随分と近代化されています。「健康の達人」と呼ばれて慶喜は黒豆を毎日100粒食べ、牛乳も飲んで豚肉も大好き。「豚一様」というあだ名も付いていました。大政奉還という一大事を断行し、将軍から開放され自由人となり、ストレスからも解放されたことも長寿の背景でしょう。

時代は違えどそれぞれのパワー食。自分にあった食材を見つけることが健康の秘訣だと実感します。

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酒井 悦子
  • 伝統芸能コーディネーター / 筝曲演奏家

幼少より生田流箏曲を学び、現在は国際的に活躍する箏演奏家。

箏の修行と同時に、美術骨董に興味を持ち、古物商の看板も得る

香道、煎茶道、弓道、礼法などの稽古に精進する一方で、江戸文化の研究に励み、楽しく解りやすくをモットーに江戸の人々の活き活きとした様子と、古き良き日本人の心を伝えている。

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