高齢者のための情報サイト【日本老友新聞】

老友新聞
ルーペ

コラム

かがやく人

かがやく人

2021年01月08日

新春特別企画「私の健康法」ジャーナリスト田原総一朗さんに聞く

好きなことを仕事にしてとことん続ける。
社会に必要とされるのが一番の健康法です。

今回はジャーナリズムに新風を巻き起こし、報道番組のスタイルを大
きく変えた田原総一朗さんにご登場いただきました。86歳の現在もなお
『朝まで生テレビ!』『激論!クロスファイア』などの番組でご活躍さ
れる、その健康の源についてお伺いしました。

大晦日から元旦の朝まで
生放送の仕事ですよ!

毎年、大晦日からお正月にかけては『朝まで生テレビ!』に出演しています。もちろん生放送ですよ。
元旦の朝まで仕事して、そして都内のホテルで眠ります。娘たちの家族と泊まるんですよ。そこで元旦の晩をみんなで過ごします。2日は寺参りと墓参りをして、そして親戚の家へみんなで集まり、楽しいひと時を過ごすんです。その日の晩はまたホテルで過ごして、正月3日目には自宅へ帰って、4日くらいから仕事が始まります。
大体ね、私は土曜も日曜もないんですよ。本当のお休みの日っていうのは、極端にいうと1月2日の寺参りと墓参り、これだけですね。それ以外は土日も仕事がびっしりです。

ヤバいからこそ面白い!
これまでにない番組作り

最初に入社したテレビ局が東京12チャンネル、今のテレビ東京でした。開局当初でまだまだ三流のテレビ局で、そういうところで番組を作ってもほとんど見てくれない。製作費も他局に比べると1/3くらい。それでもなんとか視聴率を取れる番組を作ろうということですので、他局では作らないような番組作りをしなければなりません。そういう番組とは何か?一言でいうと、ヤバい番組。そういうのばっかり作ってましたよ(笑い)。

フリーになった後の『朝まで生テレビ!』もそんな番組の一つでした。とくに面白いのは、1988年の秋、昭和天皇の病気が進行して危篤状態になった時です。日本全体が自粛ムードの中、プロデューサーから「今こそ天皇の戦争責任をやろう」と話があったんです。

プロデューサーが編成局長に話すと「馬鹿野郎!」と怒鳴られて帰って来たんですが、しばらくしたら懲りずにまた行く。また怒鳴られる。それを3回やったんです。4回目には私が一緒に行って「企画を変えます。丁度ソウルでオリンピックがあるから『オリンピックと日本人』という内容でやります」と言ったんです。「それはいい企画だ。ぜひやりたい」とOKをいただきました。

だけど『朝生』は始まるのが夜中の1時過ぎです。そんな時間は編成局長も寝ていますから、たとえ内容が差し変わっても編成局長は気が付かない。新聞タイトルは『オリンピックと日本人』にして、番組の最初はオリンピックの選手を呼んで話をしたんです。でも30分くらいやって、本番中に思い切って「本当は、今日は天皇の戦争責任をやりたかったんです」と切り出したんです。申し訳ないけれど、そこで出演者もテーマも入れ替えてやりだしたんです。こんなテーマやったことないでしょ、だから最初はみんな話の中に入れないんですが、そのうちみんなギャーギャーと言い出して。そうしたらね、視聴率がすごかったですね。

翌日の月曜日に編成局長へ謝罪に行ったんです。そうしたら編集局長が「田原さん。大みそかにもう一回やって」と。本当は編集局長も半分騙されることを承知でOKを出してくれたんだと思います。

こういうヤバいことを色々とできたのは、たぶん私が楽天家だったからですね。だから悩んだり、苦しんだり、夜眠れなくなったりというのは一度もないし、ストレスもたまりません。

いよいよ人生百年時代!
健康寿命延ばす秘訣は?

あと10年ぐらいすると今よりももっと医学が発達して、日本人の平均寿命は120歳くらいにまで伸びるそうです。仮に定年が60歳だと、あと60年どうやって生きるんでしょうか?
日本人のこれまでの人生設計は「20年学び、40年働き、15年年金をもらう」でした。寿命が延びたらそのぶん人生設計を書き換えなければなりません。長生きすれば当然病気にかかる人も多くなる。医療費、介護費、問題がどんどん出てくる。どう対応すればいい?だから健康寿命を伸ばさなければならないんですよ。
それじゃぁ健康寿命を延ばすにはどうすればよいか?これが大問題です。私はね、健康寿命を延ばすには「仕事を続けること」だと思います。

私がこうしていつまでも元気でいられる一番の理由も、仕事を続けているからだと思います。仕事が無くなってしまったら、すぐに病気になって死んじゃうんじゃないかな?
仕事といっても、自分が好きなことしかしていません。もっというと、私は趣味が一切ない。格好つけるわけじゃないですけど、趣味なんてやってる暇がないんです。好きなことを仕事にしているからこそ、いつまでも続けられる。70歳だろうが80歳だろうがとことん続ける。やりたくないことはやらない。好きな事を仕事でやっている限りはストレスもありませんし、元気でいられます。
そして一番大切なのは、世の中から必要とされていることです。これはサラリーマンだって同じことです。会社に必要とされている、世の中のために必要とされていると思えること。これが健康寿命を延ばす、一番の秘訣じゃないでしょうか。(談)


■田原総一朗さん(たはらそういちろう)
1934年4月15日生まれ。滋賀県彦根市出身。早稲田大学第一文学部史学科卒業。元東京12チャンネル(現・テレビ東京)ディレクター。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)などレギュラー出演番組多数。著書に『今だから言える日本政治の「タブー」』(扶桑社)、『90歳まで働く』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。

高齢者に忍び寄るフレイル問題 特集ページ
日本老友新聞・新聞購読のお申込み
日本老友新聞・新聞購読のお申込み
  • トップへ戻る ホームへ戻る