高齢者のための情報サイト【日本老友新聞】

老友新聞
ルーペ

コラム

三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

2022年08月19日

連載12「三遊亭圓朝」

暑さは苦手ですがお盆過ぎの夏が終わる空気にセンチメンタルになりがちなぽん太です。
皆様はどのような夏をお過ごしになられましたでしょうか?
私は現在新型コロナウイルス感染症の自宅療養中です。
幸いのどが軽く痛むぐらいで済んでますので家でボーっとしながらこの原稿を書いてます。
この倦怠感がコロナの影響なのか元々の自分の自堕落さから来るのか判別しませんが書き進めていきましょう。

さて夏の風物詩と言えばやはり怪談でしょう。
恐怖で涼をとるというのが日本独特のものなのかは不勉強ながら存じませんが、やはり冬よりは夏の方が聞くのに風情がありますね。
夏は寄席やホールの落語会でもよく怪談特集の番組が組まれます。
私は三遊亭の一門なので大本を辿ると三遊亭圓朝という幕末から明治にかけて活躍をした大名人に行き当たります。
連載初回の自己紹介の際にも説明しましたが、初代のぽん太の師匠にあたる方です。
今月8月の11日が御命日なので我々落語家は日頃の感謝を込めてきちんとお墓参りを致します。
圓朝師匠は噺も上手かったそうですが、何しろ作家としての能力が抜群に優れていて、文七元結、芝浜、鰍沢など現在でもよくかけられるネタを書いたと言われてます。
どれも年末の風物詩ですね。
そして怪談もたくさんの作品を産み出しています。
真景累ヶ淵、牡丹燈籠、乳房榎、死神…
落語に詳しくない方でも名前だけは聞いたことがあるかと思います。
現代の落語家は夏も冬も圓朝師匠のおかげで生計を立てる事が出来てると言っても過言ではないかもしれません。

さてそんな怪談噺ですが一時大変に廃れました。
明治になり文明開化の時代になると、幽霊は前時代的なものだとあまり信じられなくなります。
当時の言い方にしますと幽霊などが見えるのは「神経の作用だ」というのですね。
ちょっと科学的になり、気の迷いで見えてるでもいいましょうか。
この神経からとって真景(しんけい)累ヶ淵という題がつけられました。
作品自体は江戸末期に書かれていますが明治20年頃に改題されたそうです。
圓朝怪談のストーリーも時代に合わせてただ幽霊が出てきて祟るといっただけのものではなく、仇討ちや幽霊の仕業に見せかけた殺人、多くの登場人物が絡む人間模様などかなり複雑な内容となっています。
今流行りの伏線回収などもあり、速記本(口演した落語をそのまま書いたもの)を今読んでも大変に面白いです。
それを何十日にもわけて寄席で口演したそうなので、今でいう連続ドラマを見る感覚で当時の観客は足を運んだのではないでしょうか。
またただの怪談ではなくベースが落語なので笑えるシーンもあり長い噺でも疲れず聞くことが出来たのだと思います。
昭和の大名人三遊亭圓生師匠の圓朝作品の音源を聞いていても怪談なのに驚く程笑いがあったりします。
余談ですが、歌舞伎の真景累ヶ淵もコントかってくらい笑いがありますし、怪談は笑いの原則【緊張の緩和】と相性がいいのかもしれません。

さてまだまだ残暑も厳しそうですので圓朝師匠の作った怪談を読んで涼んでみるというのも一興でしょう。
著作権は切れておりますのでKindleなどで格安で圓朝全集が手に入りますし(完全に全作品があるわけではないですが)、また紙の本がよいという方は岩波文庫で真景累ヶ淵と牡丹燈籠が発行されています。
そしてそして活字だけでなく生の圓朝怪談を聞いてみたいという方に朗報です。
なんと現在三遊亭ぽん太が怪談牡丹燈籠の連続通し口演に挑戦中。
6月からスタートし8月が第3回目で、会の冒頭では紙芝居で今までのおさらいをするという親切仕様なので途中からでも安心してご覧頂けます。
ご来場お待ちしております…ってすみません、長々と宣伝を失礼しました(笑)
ただ私だけでなく色んな方が圓朝作品の口演をされていますので、聞き比べてみるのも面白いと思います。
人によってずいぶん解釈が違いますので、ぜひ自分好みの落語家を探してみて下さい。
でも私みたいな若輩者が怪談をやって、失敗したからといって「ホラー見たことか」とだけは言わないで頂けると幸いです。

お知らせ

三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.32
日時・8月28日(日)14時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U25割1000円、ぽん太初めて割500円
予約、問合せ・pontathe2nd@gmail.com

 

この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。

三遊亭ぽん太
  • 三遊亭ぽん太
  • 落語家
  • 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて140席以上ある
  • ぽん太さんのHP
    https://pontathe2nd.amebaownd.com/
高齢者に忍び寄るフレイル問題 特集ページ
トップへ戻る ホームへ戻る