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ルーペ

コラム

2019年09月13日

女性の若さは健康が基本。74歳でフルマラソン、80歳で9センチヒールでオシャレする人も!

「運転免許証、返納したのよ」
「先生、持ってはったんですか?」
「無事故、無違反の優等生や」
と言ったら、
「バスも電車も無いとこやったら一家に一台やけど、京都はその点、楽ですなあ」
これは、京都マラソンにいった時、タクシーの中での話。
 京都マラソンは、1万6千人の応募者が京の名所を横に見ながら、42.195キロを走る。 当然、交通規制もあるし、京の町はその日、応援のファミリーを含めて、寒さもいとわず、健康な人たちが自分との戦いにかける。

「さっき『順正』の前で、えらい人降ろしました」
というタクシー運転手。

「順正へ行って下さい」
「お一人ですか?」
「去年まで主人と来てたのですが、今年、主人は留守番です」
「今日のマラソンで、誰か走らはった人ですか?」
「私が走ったんです」
「ええ??」
「もう4年走りに山形から来てますねん。74歳ですけど、このマラソンが楽しみで。主人は犬の番をしてますの。さっきメールしたら、『早う帰って来て。太郎(犬の名前)が玄関から動かへん』て。順正で湯どうふ食べて帰ります」
元気な人がいるものだ。

   ◇

1万6千人のランナーの中には、いろんな意味を持った人がいる。京都マラソン2018は、いろんな人の運命と希望をのせて走るのだ。

私も寒いからとか、荷物があるからと、自分で自分に言い聞かせながらタクシーを利用することが多いが、私の友人で、とてもとてもおしゃれな人で、80歳を過ぎても9センチのヒールを履いている人がいる。
彼女はハイヒールの効果について、おしゃれは当然だけれど、背筋が伸びることだと言う。とは言っても、彼女の家から宇治の駅まで、坂道で7~8分は歩かなければならない。

「私が健康なのは、この坂道のお陰よ」
彼女はパーティーの中でも、きわだって背が高いように見えるが、それもハイヒールのお陰だ。しかし、急に、生まれて初めてで9センチのヒールは危険だ。

女性の若さは健康が基本だ。私の周りには腰が痛い、膝が痛いという人が多い。腰痛や膝痛は日本の国民病か。それも、人ぞれぞれに症状が違う。
できれば「歩くこと」を自分の意志で実行しよう。74歳で京都マラソンに参加したという人は、誰に頼まれて走ったのではなく、自分の意志で走ることを実行しているのだ。それも、自分の楽しみで京都へ来ているのだ。

若い人はよく
「ガンバッテ!!」「ガンバル!!」
と言うが、どの程度の努力か。
オリンピックに選ばれるような人は、練習、練習の努力の日々だ。
平昌冬季五輪は終わって、もはや次のオリンピックを目標に練習に入っている。練習、練習で鍛えた身体は、きっと人生の大きな財産になる。

私は長野五輪で、清水宏保選手が、自らが勝ち取った金メダルをお母さんに掛けてあげた光景を忘れない。母上はどんなに誇りに思ったか。
私は従業員を採用する時、スポーツをしていた人を選ぶ。これ、ひとつのチョイスの方法だ。
(本稿は老友新聞本紙2018年4月号に掲載した当時のものです)

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市田 ひろみ
  • 服飾評論家

重役秘書としてのOLをスタートに女優、美容師などを経て、現在は服飾評論家、エッセイスト、日本和装師会会長を務める。

書家としても活躍。講演会で日本中を駆けめぐるかたわら、世界の民族衣装を求めて膨大なコレクションを持ち、日本各地で展覧会を催す。

テレビCMの〝お茶のおばさん〟としても親しまれACC全日本CMフェスティバル賞を受賞。二〇〇一年厚生労働大臣より着付技術において「卓越技能者表彰」を授章。

二〇〇八年七月、G8洞爺湖サミット配偶者プログラムでは詩書と源氏物語を語り、十二単の着付を披露する。

現在、京都市観光協会副会長を務める。

テレビ朝日「京都迷宮案内」で女将役、NHK「おしゃれ工房」などテレビ出演多数。

著書多数。講演活動で活躍。海外文化交流も一〇六都市におよぶ。

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