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コラム

2021年05月07日

「愛はどんな小さなものにも必ず宿っている」動作や、言葉にも。

(本稿は老友新聞本紙2019年10月号に掲載した当時のものです。)

9月4日、「供養と感謝を考える」というイベントに出席した。
世界遺産の薬師寺は久し振りだ。
「供養」「感謝」は、今の日本に最も大きな意味を持つ言葉だ。老友にもいくつかこのテーマでエッセイを書かせていただいた。

昨年の9月4日は、祈りもむなしく大きな台風のため苦労した。昨年苦労した分、今年は快晴だ。33度という暑さ。「9・4」を供養の日とは、ごろ合わせのようだが、覚えやすく、また言葉の持つ意味は大きい。京都は寺も多く、毎年あの白い壁の寺からは、国宝の美術品や工芸品が姿を見せてくれる。
しかし奈良もまた、歴史的な都だ。
朱色の社は1300年の古都の迫力をもって、圧倒的な風景だ。

会場の薬師寺は奈良の美しい庭園と朱塗りの社。圧倒的な美しさだ。
「いただきます」「ありがとう」「さようなら」など、この美しい思いを込めた言葉は、私たちの暮らしの中で、静かに、清々しくゆっくりとしている。
私一人が感じていることではない。

「生命あるものに対する愛は、どんな小さなものにも必ず宿っている」
そんな同じ思いを持つ人が集っているのが「供養の日普及推進協会」だ。
高齢化、核家族化の進行、スマホやインターネットなどでのSNSの進化。高齢化の中で、高齢者をとり残して進化しつつある。かといって、高齢者はとり残されるばかりではなく、それぞれがその役割を果たさなければならない。
「供養と感謝を考える」は、この会の大澤静可会長の挨拶から始まった。紫の法衣の僧のおごそかな読経。胸にしみる。

    ◇

こんな思い出がある。
私は昭和43年。関西テレビ「ハイ土曜日です」という朝のワイドショーにレギュラー出演していた。
日本で初めてのきものの着付けを、プロセスで紹介するコーナーがあった。その中で薬師寺の高田好胤様も出演しておられて、私の15分のコーナーの中で、出来上がった時に
「ちょっと所作も入れたらええなあ」
とアドバイスをしてくださった。
あいさつや座布団の使い方など、もはや50年も前の話だが。写経もさせて頂いた。

    ◇

加藤朝胤管主の講演も、この会の趣旨を追うものだ。みんな同じことを考えているのだ。
お仏壇も無い家もあれば、数珠を持っていない人もいるが、生命の終りこそ、その人の人生が見える。
お金持ちになることが目標の人は別として、人に迷惑をかけない生き方をしたいものだ。当然、感謝の心だ。
何といっても、掌(てのひら)をあわせることこそ、その姿だ。家族と共に生きることの中に、掌をあわせる姿、「ありがとう」「ごちそうさま」こそ、子供達に見せてあげたい。

久し振りの奈良・薬師寺。忙しい日々を過ごしているが、久しぶりの奈良で、いろいろ思いをはせることができた。
そうだ。奈良へ行こう。
やがて秋が来る。緑の中の社は紅葉に変わる。
良い一日だった。

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市田 ひろみ
  • 服飾評論家

重役秘書としてのOLをスタートに女優、美容師などを経て、現在は服飾評論家、エッセイスト、日本和装師会会長を務める。

書家としても活躍。講演会で日本中を駆けめぐるかたわら、世界の民族衣装を求めて膨大なコレクションを持ち、日本各地で展覧会を催す。

テレビCMの〝お茶のおばさん〟としても親しまれACC全日本CMフェスティバル賞を受賞。二〇〇一年厚生労働大臣より着付技術において「卓越技能者表彰」を授章。

二〇〇八年七月、G8洞爺湖サミット配偶者プログラムでは詩書と源氏物語を語り、十二単の着付を披露する。

現在、京都市観光協会副会長を務める。

テレビ朝日「京都迷宮案内」で女将役、NHK「おしゃれ工房」などテレビ出演多数。

著書多数。講演活動で活躍。海外文化交流も一〇六都市におよぶ。

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