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2026年03月19日

気付きにくいフレイルの症状

フレイルとは健康な状態と、要介護が必要な状態の間のこと。フレイル者は、要介護状態のリスクが高まっているともいえる。フレイル予防で、健康長寿も可能であるが、フレイルをそのままにしておくと日常の生活にどのような影響が出てくるのか、そして予防を続けることがなぜ大切なのかを考えてみたい。フレイルは病気ではない。しかしだからこそ、病気よりも気づきにくく、気づいた頃には生活の質が大きく下がっていることもある。そこにフレイルの怖さがある。

筋力の劣えで「負の連鎖」
動かないと心も弱らせる

フレイルには「1.肉体的フレイル」「2.精神・心理的フレイル」「3.社会的フレイル」の3つのフレイルがある。ひとつずつ、より詳しく説明しよう。

■肉体的フレイル〈転びやすくなる〉
フレイルが進むと、まず体の変化として現れやすいのが筋力の低下である。特に衰えやすいのは、太ももやお尻、ふくらはぎといった下半身の筋肉だ。これらの筋肉は、立つ、座る、歩く、段差を越えるといった日常の動作を支えている。
「立ち上がる時に『よいしょ』と声が出るようになった」「ちょっとした段差でつまずくことが増えた」「何もない所で足がもつれた」と感じていないだろうか。こうした小さな変化がフレイルの入り口である可能性があり、注意が必要だ。
高齢者の場合、骨が脆くなっていることもあるので、たった一度の転倒、ちょっとしたつまずきでさえも骨折を招くことがあり、そのことが高齢者の生活にとって大きな転機になりやすい。
骨折をするとしばらくの期間、動かさずに安静にする必要があり場合によっては入院の必要もある。その間に筋肉はさらに落ちてしまう。若い人とは異なり、たった一週間でも寝たきり状態が続くと筋力が大きく落ちてしまい、かつ戻りにくい。痛みもあるため、歩くことが億劫となり、外出が減り、家に閉じこもりがちになる。すると要介護状態へ一気に近づくこともあるのだ。
フレイルは、この「筋力が弱る→転倒・骨折→安静→さらに筋力弱る」という負の連鎖を引き起こしやすい状態なのだ。

■精神・心理的フレイル〈心も衰える〉
フレイルの影響は体だけにとどまらない。身体の衰えは心にも影響を与える。動かない生活というものは心までをも弱らせてしまうのだ。
外出が億劫になり、家にいる時間が増えると、人と話す機会が減っていく。すると気分が沈みやすくなり、「何をするのも面倒だ」「楽しいことがない」と感じやすくなる。
外出が減り、体を動かす機会が少なくなると、人と話す機会も自然と減っていく。
「今日一日、誰とも話していない」「一日中、テレビだけを相手に過ごした」というような日が多くなっていないだろうか?これが精神・心理的フレイルを招いてしまうし、さらに次項で説明する社会的フレイルにも関連してくる。気力が落ちると、食事を簡単なもので済ませるようになり、栄養も偏りがちになる。すると体力が落ち、さらに動くのが億劫になる。体と心は深く結びついており、どちらかが弱ると、もう一方にも影響が及ぶのである。

■社会的フレイル〈孤立する怖さ〉
もう一つ見逃せないのが、社会的フレイルである。仕事を引退し、子どもも独立し、配偶者や友人との死別などを経験すると、社会との関わりはどうしても少なくなっていく。またそのような出来事自体が精神的にも大きな負担となるだろう。
人と会う機会が減り、地域や社会とのつながりが薄れると「自分は必要とされていないのではないか」と感じ、生活の張り合い、やりがいが失われてしまい、心身の衰えを一気に進めてしまい、フレイルをさらに進行させる要因となる。
このように、フレイルは体の問題だけでなく、暮らし方や人や社会とのかかわり方にもとも深く関わっているのである。

ここまで読むと、フレイルとはたとえ病気の状態ではなくても非常に怖いものだと感じられることだろう。しかし、フレイルは早い段階であれば元の元気な状態へ回復できる可能性が高いということも知っていただきたい。
フレイルとは、要介護状態になる前の「改善できる時期」である。そして「ひょっとしてフレイルかな?」と気づいた時こそが「フレイル対策の初めどき」なのである。何もせずに放っておくのではなく、気づいた時点で生活を少しずつ見直すことで、将来を大きく左右することになるのだ。
では、より具体的なフレイル予防法を3つの柱に沿って詳しく説明しよう。

フレイルの予防3つの視点

栄養
フレイル予防の基本は、まず食事である。筋肉は年齢とともに減っていくものだが、筋肉を作る材料となる栄養が足りなければ、筋肉はますます弱ってしまう。
とくに大切なのが、肉や魚、卵、大豆製品などに含まれるたんぱく質である。毎食どこかにたんぱく質を取り入れる意識を持ちたい。食が細い人は、無理をして一度にたくさん食べようとせず、食べる回数を増やしてみてほしい。
また、よく噛んで食べることも重要だ。噛む力が弱ると、食べられる物が限られ、栄養が偏りやすくなる。噛むことは、誤嚥を防ぎ、脳への刺激にもなるといわれている。

運動
運動というと「きつい」「続かない」と感じる人も多いだろう。しかしフレイル予防に必要なのは激しい運動ではない。立つ、座る、歩く、階段を上るといった日常的な動きを「長く続ける」ことが大切なのだ。
椅子から立ち上がる動作を1日10回。かかとの上げ下げを20回。その場で足踏みを30秒。これだけでも、下半身の筋肉は刺激される。バランス感覚に不安がある人は、テーブルやいすなど安定したものにつかまりながらでも良い。ポイントは「できる範囲で」「毎日少しずつ」である。

社会参加
人との関わりが、最大のフレイル予防になる。これが意外と見落とされがちなのである。外に出る。誰かと会い、話す。役割を持つ。これらは心と体の両方を元気にする。
特別な活動を始める必要はない。毎日散歩をし、近所の人とあいさつを交わす。週に一度買い物に出かける。町内会など、地域の集まりを少し覗いてみるつもりで参加する。こうした小さな行動が社会的フレイルを防ぐ力になるのだ。

フレイル予防で最も大切なのは、頑張りすぎないことである。完璧な食事や運動を目指すと、かえって続かなくなる。自分に合った方法を見つけ、楽しみながら続けること。それが結果としていちばん効果のあるフレイル予防となり、健康長寿への確かな一歩となるだろう。

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