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コラム

2022年01月18日

「母の形見の『へっつい』」~本紙読者投稿より

昔なつかしい「へっつい」(釜戸)。私の家にもありました。

薪を割って燃やし、へっついでご飯を炊きました。12人家族だったので、大きな鉄のお釜や鍋を使いました。庭には井戸、ポンプもありました。

私が住んでいるのは東京、葛飾区。といっても、私が嫁いだ時には、まだかやぶき屋根の家もちらほらありました。畑や田園もあり、本当に田舎のような所でした。
商店は遠くて、女の人でも自転車に乗れないと不便でしたので、無理にでも自転車を習わされました。

夏の井戸水は冷たくて、よく大きなスイカを丸のまま冷やして食べました。
また、冬の井戸水は暖かく、洗濯はお風呂の残り湯で洗い、すすぎは井戸水でした。

家族の誕生日にはへっついにセイロを乗せ、赤飯を炊きました。大きなおひつに移して、皆で祝って食べるのです。

よく炭屋さんから薪を買うときに
「今はガス炊飯器で炊いた方が安いよ。薪で炊くなんてずいぶん古風だね」
なんて笑われましたが、母は自分で思った事は絶対に変えない人。へっついと釜で炊いたご飯がおいしいとの事でした。

家を建て替えたときに、へっついと庭の井戸は無くなってしまいました。へっついを壊す時や、井戸を埋めるときには、寂しかったです。
ですが、お釜やおひつなどは、母の形見として、今でも押入れにしまってあります。母に会いたくなったら、それらのお勝手道具を懐かしむのです。
(東京都 H・S)

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