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三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

2022年05月23日

連載9 「子どもと落語」

すっかり新緑のまぶしい季節になりましたね。
久しぶりにいくらか開放的な気分で迎えることが出来た今年のGWをいかがお過ごしになられましたか。
私は部屋のコバエと戦うために色んな殺虫剤を試してました(笑)

さてGWのメインイベント(?)といえば子どもの日ですが、我々の世界でも子ども向けの落語会は頻繁に開催されています。
お子さんに興味を持ってもらわないことには業界の存亡に関わりますので大事なお仕事です。
ただひとくくりに子どもと言っても学年ごと、地域によって全然反応が違います。
例えばよく小学校に赴いて学校寄席というものを開催しているのですが、一、二年生だとまだまだ幼く、分からない言葉が多いのでやれるネタが限られます。
言葉遊びや漢字の間違いを笑うネタなのにそもそもの字をまだ習ってない、ということが往々にしてあります。
また全学年合同でやると六年生からは「一年生が笑うところで笑うもんか」という年長者の強いプライドを感じます。
特に六年生の三学期ともなると気持ちはほぼ中学生なので安易な下ネタもNG 。
五年生はゲラゲラ笑ってるようなネタでも一年違うだけでこんなに反応が違うのかと驚かされます。
確かに自分も思春期の頃は下ネタをバカにしてたなぁと思い出しつつ、年をとるとまた面白くなってくるんですから人間の成長って不思議ですね。
なので私の感覚では三年生から五年生が子ども向けの落語をやっても素直に笑ってくれる年代かな、と思います。
案外短いです。

落語は想像の芸といいますが、絵を頭で描くためにはある程度の知識が必要になってきます。
私が子どもの頃は時代劇がゴールデンタイムでテレビ放映されていましたので長屋の様子やお裁きの時のお白洲などもなんとなく想像がつきましたが、今はそろばんも馴染みが薄くなっていますし、トイレも水洗が当たり前。
もはや和式トイレすら知らない子もいるかもしれません。
余談ですが、台東区の子どもたちに汲み取り式トイレが分かるかを聞いたら「下町風俗資料館で見た!」と言われ、自分の知ってる物が歴史の授業の一部になってるんだとちょっとショックを受けました(笑)
まぁ東京でバキュームカー走ってませんもんね。

また時代劇を見てないと侍といってもちょんまげ姿を想像出来ないかもしれません。
アニメが好きな現代の子どもたちだと侍が出てくる落語をやってもそれぞれの頭の中では鬼滅の刃の煉獄さんやワンピースのゾロが動いてるのかも。
それはそれで面白そうではありますが(笑)
もしかしたら若い女性のお客様でも昭和元禄落語心中といったイケメンが出てくるマンガやドラマから落語に興味を持った方の中には、はっつぁんや熊さんをものすごく美形に思い描いている方がいる可能性もあります。
やってる側は私含めぱっとしないおじさんたちが多数なのでその方がいいかもしれません。

自分で言うのもなんですが子ども向けに落語をやるのは結構得意でして、前座の時に伺ったある小学校では笑いすぎておしっこをもらしてしまった子がいました。
ちょっと申し訳ないことをしたなと反省しつつもそれだけ笑ってもらえたのなら芸人冥利に尽きるなとも思います。
このところ落語界にも少しずつまた客足が戻りつつありますので、ぜひ寄席に足を運ばれた際は腕組みをして難しい顔などせず童心に返って大笑いして頂けると我々も励みになりますのでありがたいです。
ただ下のお世話は大変なので各自そこだけはお気をつけ下さい!
あ、やっぱり下ネタ好きですね(笑)
気持ちは小学生なのかもしれません。
ではまた来月!

三遊亭ぽん太

お知らせ

三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.30
日時・6月24日(金)19時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U25割1000円、ぽん太初めて割500円
予約、問合せ・pontathe2nd@gmail.com

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三遊亭ぽん太
  • 三遊亭ぽん太
  • 落語家
  • 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて140席以上ある
  • ぽん太さんのHP
    https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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